衝突安全性は決して低くない!! 解き明かされる軽自動車の真実

衝突安全性は決して低くない!! 解き明かされる軽自動車の真実

 一般ユーザーには広く愛用されているものの、カーマニアからは高く評価されることの少ない軽自動車。

 だが最近の軽をそのように軽んじるのは間違いではないか? だって最近の軽、けっこういいよ?

 さあ、今こそ「軽自動車の逆襲」を喰らえ! まずは衝突安全性の誤解を解く!!!

※本稿は2021年10月のものです
文/伊達軍曹 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年11月10日号

【画像ギャラリー】JNCAP(自動車アセスメント)安全性能評価『衝突安全性能評価の部』でトップ入りした軽(9枚)画像ギャラリー

■「軽の真実」を明らかにしてその汚名を返上したい!

 庶民の足として愛用されているニッポンの独自規格、「軽自動車」。だがそんな軽自動車に対する一部カーマニアからの評価は低い。

 「ぶつかったらすぐ死にそう」「決定的にモテない」「走りがショボい」といったあたりが、一部カーマニアが軽を毛嫌いする理由だろうか。

 それらは確かに一理ある。衝突事故の際には、旧世代の軽ではなくベンツのGクラスあたりに乗っていたほうが生き残る可能性は高いだろうし、モテについても、走りに関しても同じことだ。

 だが、それらは「一理」でしかない。

 軽自動車の一部は、下手な登録車より衝突安全性能が高いことが実証されており、モテや走りに関しても「軽だと絶対に無理」というわけではない。「やり方次第、考え方次第」なのだ。

 そこで当企画では、一部から不当に低く扱われている軽自動車の「真の実力」を明らかにすることで、その汚名を返上するとともに、もしもその気があるのであれば「軽自動車の購入」を各位にうながしたいと思う。

 無論、さまざまな制約がある軽自動車ゆえ、本誌をお読みのすべてのカーマニアに軽自動車がマッチするとは思っていない。しかし「軽がハマるクルマ好き」というのも絶対に一定数はいるもので、なおかつ物事というのは『制約』があったほうが面白くなる場合が多い。

 だからこそ今、一部マニアからは不当な扱いを受けている軽自動車の『逆襲』を開始したいのだ!

■日産デイズ/三菱eKは登録車以上に安全だ!?

2020年度JNCAPでハリアー以上の評価点をマークした日産デイズと三菱eKワゴン(写真はデイズハイウェイスター)
2020年度JNCAPでハリアー以上の評価点をマークした日産デイズと三菱eKワゴン(写真はデイズハイウェイスター)

 ネット上の記事に対して匿名でコメントを投稿できる有名サイトがいくつかある。そのコメント欄では、軽はしばしば「走る棺桶」などと言われている。衝突事故でぺちゃんこになった軽自動車の写真とともに「走る棺桶には乗りたくねえw」のような失礼極まりないコメントが付くのだ。

 だが「JNCAP」によれば、その意見は必ずしも正しくはない。

 JNCAPとは、独立行政法人 自動車事故対策機構が国土交通省と一体になって行っている衝突安全性と予防安全性能の評価テスト。

 2020年度のテストでは10車種に対して乗員保護性能(フルラップ前面衝突/オフセット前面衝突/側面衝突/後面衝突頚部保護)と歩行者保護性能(頭部保護/脚部保護)、シートベルト着用警報の評価が行われ、被害軽減効果を点数化した。その結果が左表である。

 衝突安全の部で1位となったスバル レヴォーグはまぁ順当だとして、2位に入ったのは「軽自動車」だ。具体的には日産デイズ/デイズ ハイウェイスターおよび三菱eKワゴン/eKクロスである。

 ……いかにも頑丈そうに見えるトヨタ ハリアーを抑え、そしてまあまあ頑丈そうに見えるヤリスやフィットなども抑えての2位は立派であり、「走る棺桶には乗りたくねえw」と匿名でうそぶいている連中にぜひ知っておいてほしい事実である。

 なおスズキ ハスラーは若干残念な結果となっているが、詳細を見ると、後面衝突頚部保護などはダイハツ タフトを上回っているものの、後席のシートベルト着用警報がないことが、総合点数の低さに結び付いてしまった。JNCAPは複雑なのだ。

次ページは : ■一概には言えないが「ベンツ以上」の項目も

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