どんなクルマにも山もあれば谷もある。とはいえ、谷から這い上がることは容易なことではない。真っ逆さまに転落し、そのまま姿を消したクルマも数多い。いっぽう、いきなりのロケットスタートを切り、下積み生活を経験することなく順調にモデルチェンジを繰り返しているクルマもある。
いずれにせよ、ユーザーの心を強烈に惹きつける何か特別なものがないと、長寿モデルにはなり得ない。今回は、会心の一撃を放ったことで谷底から這い上がったクルマ、企業の経営危機を救った名車を紹介しよう。
文/藤原鉄二、写真/トヨタ、日産、マツダ、FavCars.com
【画像ギャラリー】己を信じるクルマ作りがヒットの理由(25枚)画像ギャラリーe-POWER搭載でバカ売れが止まらない! 2代目ノート(2016年~)
2012年7月のフルモデルチェンジで登場した2代目ノート。日産の世界戦略車に位置付けられ、期待を一身に受けてのデビューとなった。
ノートは、販売開始から約2週間を経過した時点で2万1880台を受注。これは月間販売目標の2倍以上にあたる数字だった。さらに、ハイブリッド車を除くガソリン登録車でナンバーワンの売り上げを記録するなど、フルモデルチェンジは大成功となった。
そして、さらなる起爆剤として投入されたのが2016年11月のマイナーチェンジに追加されたノート e-POWERだ。
e-POWERとは、エンジンで発電した電力をバッテリーに蓄え、その電力でモーターを駆動して走行するシステム。エンジンで発電ができるため、給油は必要だが、PHEVのように外部充電は必要ないという、EVに近いハイブリッドカーだ。
ユーザーの心を鷲掴みにした原因は、300万円以下というリーズナブルな価格設定。この価格でe-POWERと同様のシステムを搭載した量産車は当時、世界的にも類を見ないものだったのだ。
このノート e-POWERが予想を大幅に上回る大ヒットを記録。日産の2017年度第1四半期(2017年4~6月)の連結決算によると、国内新車販売台数は前年同期比45.6%増。この大幅な伸びの牽引役がノート e-POWERと言われている。
e-POWERはその後、セレナ、キックスなどにも搭載され、いずれも好調なセールスを見せている。
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