ミニバンは各社の稼ぎ頭でもあり、研究開発も激しい速度で進んでいる。特にミドルクラスミニバンは各社ともに力を入れている。
このクラスのパイオニアとなるステップワゴンは、販売面で少し苦戦を強いられているのも事実。そこには新進気鋭で絶好調の日産・セレナe-POWERの存在がある。
そこで自分ならどっちを買う!? を意識して編集部Sが試乗。かつてのパイオニアの実力、そしてライバルのポテンシャルはいかに?
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカー編集部
■ステップワゴンとセレナを比較するワケ
ステップワゴンとセレナe-POWERを比較するこの企画。2018年6月現在のミドルクラスミニバンの販売状況を見ると、トヨタのノア/ヴォクシーが兄弟車種合計で月間1万台以上を販売している。
一方で、ステップワゴンはハイブリッド1552台/ガソリン2630台、セレナはe-POWER5814台/ガソリン3430台となっている。
圧倒的2番手のセレナと、このクラスのパイオニアながら苦戦を強いられている3位のステップワゴンという構図が成り立つ。
そうなると試したいのがこの2位/3位の比較。セレナe-POWERがそこまでいいのか!? それともステップワゴンのよさが伝わっていないのか!? 編集部Sが試乗して徹底チェックです。
■ホンダらしさを打ち出したステップワゴンスパーダ
ステップワゴンといえばこのクラスのミニバンではパイオニアとなる車種。
1.5Lターボモデルは苦戦したが、クルマ全体の作りこみは非常に細かくその性能については評価も高い。
デザインは2017年のマイナーチェンジでハイブリッド搭載のスパーダがワイルドな顔になった。和み過ぎていたMC前モデルからすると大きな変化だ。
今回試乗したのはステップワゴンスパーダ ハイブリッド。
担当Sの気に入ったポイントはずばりその足回り。
ミニバンは重心が高くなりコーナーなどで”グニャー”といった感触だったり、ふらつきを感じるクルマも多い。しかしスパーダの場合は粘る足回りでそこに不安感はない。
これは運転していて楽しいだけではなく、同乗者のクルマ酔いを防ぐにも非常に有効な足回りだ。ただ市街地では少し固さを感じるオーナーもいるかもしれない。
わくわくゲートの採用や、ダイブダウンする3列目など、細かな作りこみに関してはステップワゴンに比肩するライバルはいないと断言できる。
■新感覚のe-POWERを搭載のセレナはどうだ?
お次は売れに売れいているセレナe-POWER。
「ワンペダルドライブ」と称した新感覚のドライビング、さらには「プロパイロット」という運転補助システムも大きなトピックだ。
アクセルのオン・オフだけで減速できる回生ブレーキは、まるで電車のような雰囲気すらあって楽しい。
加速時など発電中には遠くのほうでエンジンサウンドを感じさせるものの、遮音を徹底したというだけあって、静粛性は大きなセールスポイントにもなる。
担当として気になる部分はその乗り味。今回試乗したようなワインディングでは腰砕け感がある。
30~50km/hが法定速度の山道を法定速度で走っても、セレナe-POWERの足回りは明確に柔らかい。
もちろん恐怖を覚えるようなものではないが、コーナーが連続すると乗り物酔いしやすい子どもにはキツイだろう。市街地での乗り心地は抜群だが、このへんのバランスは難しい。
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