新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛で「フードデリバリー」もしくは「中食デリバリー」などと呼ばれる飲食料品の配達サービスが大流行りだ。確かに便利だし、配達員の仕事はコロナで職を失った人たちの受け皿にもなっているというから結構なことである。
ただ、そのいっぽうで大型リュックサックを背負い二輪車(自転車、原動機付自転車、自動二輪)に乗る配達員の運転マナーの悪さがたびたび指摘されている。
トラック輸送など輸送分野の労働組合である運輸労連(全日本運輸産業労働組合連合会)が2020年11月に行なった「自転車および中食デリバリーの危険走行に関するドライバーアンケート」の集計結果がこのほど公表された。その結果、職業ドライバーの95%が二輪車等の走行マナーに危険を感じている実態が明らかになった。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
運輸労連が実施したアンケート
アンケートは、2020の11月に組合に加盟する職場に調査票を配布し、12月に回収するという形で行なわれ、合計9148枚を集計するという比較的大規模なものだった。
調査項目は、ドライバーの属性のほか、二輪車等の走行マナー、自転車専用レーンおよび車道混在区間で気を付けていること、フードデリバリーの走行マナー、安全を守るための施策などについて調査した。
回答者の大部分はトラックドライバーで(車両の種類に「台車」と答えた3%以外はトラック、トレーラ、小型バンのドライバー)、年齢や運転歴、積み荷はさまざまだ。
四輪車両からみて二輪車等の走行マナーに危険を感じることが「よくある」「たまにある」と回答した人は実に95%に上り、特に関東地方や近畿地方では「よくある」単独でもおよそ6割と、トラックドライバーは頻繁に二輪車の走行マナーに危険を感じていることがわかった。
危険を感じる行為として特に多いのが「すり抜け」と「スマートフォン等のながら走行」で、次いで「イヤホン等で音楽を聴きながらの走行」「周囲を気にしていない」「影・死角からの飛び出し」などだった。
逆に「自転車に危険を感じさせてしまった」もドライバーの77%が「よくある」「たまにある」と答えており、自転車専用レーン付近や車道混在区間でのトラックの運転は自転車に対して注意が必要だ。
フードデリバリーの走行マナー
フードデリバリーの走行マナーに関しては、「自転車」「原動機付自転車」「自動二輪車」のそれぞれで危険を感じる行為を調査した。
共通して高いのは「すり抜け」だが、「自転車」でもっとも高いのは「スマートフォン等のながら走行」、次いで「イヤホン等で音楽を聴きながらの走行」だった。「すり抜け」は3番目で、「逆走」も多い。
いっぽう「原動機付自転車」(ペダル付き電動自転車=モペッド、電動キックスケーターなども含む)では、「すり抜け」が圧倒的に多く、他に「速度超過」「ふらつき走行」が多かった。
また、「自動二輪車」では「すり抜け」と「速度超過」の二つが多い。原付と自動二輪ではどちらも「周囲を気にしていない」や「一時停止無視」も多くなっている。
安全を守るための当面の施策については、「街頭での指導・取り締まり強化」「法規制の強化」といった従来からの交通安全に関する諸対策を求める声に次いで多いのが、「運営会社への指導強化」と「事故などの企業責任の明確化」となった。
いずれもフードデリバリー事業の運営会社に関するもので、両者を合わせると「取り締まり強化」より多かった。トラックドライバーの立場からは、「マナーが悪い」といわれるフードデリバリーの配達員より、運営会社への注文のほうが多いようだ。
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