いよいよ近づいてきた、2022年のゴールデンウイーク。今年はいまのところ、規制なく過ごせる見込みで、感染対策に気を付けながらも、お出かけを楽しもうと、計画されている方は多いでしょう。
感染対策のため、クルマでの移動を選択される方も増えていますが、クルマで出かけるとなると、やっかいなのが高速道路の渋滞。ETCの普及やスマートインターの増加によって、以前よりは渋滞が減りつつありますが、それでも渋滞が起こりやすい場所では、相変わらず渋滞が発生しています。
信号もなく、ただただ真っすぐ走るだけの高速道路で、なぜ渋滞は起こるのでしょうか。発生要因とともに、渋滞を防ぐ、渋滞吸収走行についても、ご紹介します。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_Goran Jakus
写真:Adobe Stock、写真AC
渋滞の主な要因は「スピード低下」
NEXCO東日本によると、強い自粛を求められていた2021年は、10km以上の渋滞は前年比30%に減少、30km以上の渋滞は12%にまで減少しました。
しかし、コロナ禍の自粛ムードが収まりつつある今年は、4月29日(金)~5月1日(日)、5月3日(火)~5月5日(木)と、2度の3連休に渋滞のピークが予想されています。なかでも、下り方面は5月3日、上り方面は5月5日に、多くの道路で渋滞が発生する見込みです。
高速道路の渋滞は、「交通集中」「工事」「事故」の3大要因で起こるといわれています。NEXCO東日本によると、コロナ禍前の2019年に発生した渋滞のうち、約76%は交通集中を原因とする渋滞だったそう。このうち約63%は上り坂、およびサグ部(下り坂から上り坂にさしかかる凹部)で発生しているといいます。東名高速下り方面の大和バス停付近や綾瀬バス停付近、中央自動車道の上り方面の小仏トンネル付近など、渋滞で有名な場所は、もれなくサグ部となっています。
上り坂やサグ部では、速度をキープしているつもりでも、クルマは自然に減速をします。すると、前走車との車間距離が詰まり、後続車がとっさにブレーキを踏み、またその後続車もブレーキを踏む。それらが連鎖することで、渋滞となっていくのです。
比較的新しい新東名高速道路などでは、起伏ができないように道路はつくられていますが、既存の高速道路の起伏を無くして平らにするのは現実的ではなく、渋滞の要因がわかっていても、解消が難しいのが現状です。
何十キロといううんざりするような渋滞を避けるには、もちろん道路の整備も必要不可欠ですが、渋滞を引き起こさないようにする、ひとりひとりのドライバーの運転操作も大切。上り坂やサグ部には、「スピード低下に注意!!」という看板が、しつこいくらいに設置されています。それらに気づいたら、スピードが落ちていないか確認し、さらに以下でご紹介する「渋滞吸収走行」も意識してほしいです。
ポイントは「十分な車間距離」
「渋滞吸収走行」とは、東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授のチームによって提唱され、JAFと共に社会検証実験が行われている、渋滞時の走行方法です。
具体的には、常に十分な車間距離を保って走行し、交通量が増えてきたら速度を抑え、車間を詰めすぎないように走ること。この車間距離が「クッション」の役割をはたし、前のクルマが大きく減速しても、ブレーキを踏むことなく(または踏む頻度を減らし)、速度を保って走行することができます。
実はこれ、アリの動きがヒントになっているそう。アリは混んでくるとお互い詰めなくなるそうです。クルマは混んでいても、どんどん車間を詰めて流量を落としてしまいますが、アリは詰めないことで流量を維持しているそう。
大型トラックのドライバーのなかには、渋滞中に車間距離を目いっぱいとって走行している人がいます。一度停止すると再加速に時間のかかるトラックは、再発進が大変、発進加速の衝撃を防ぎたい、燃費改善のため、など、理由はいろいろあると思いますが、経験的に、トロトロ運転が渋滞解消には効く、というのを理解していて実践されている、ということもあるのでしょう。
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