暖かくなってこの時期多くなるのが居眠り運転。たがが居眠り運転、クルマを停めて少し眠れば直るとタカをくくってはいけない。
法律上、居眠り運転が原因になるのは、「安全運転義務違反」およびボーっとした状態の「漫然運転」や「過労運転」。こうした居眠り運転に関する罰則はあるのだろうか? また事故はどのくらい起きているのだろうか?
さらに居眠り運転をする対策や居眠りを防止するグッズなども紹介していきたい。
文/高根英幸、写真/AdobeStock(トップ画像=airdone@Adobe Stock)
■居眠り運転は過労運転と見なされれば厳罰も
春眠暁を覚えず、この時期はとかく眠気に誘われやすい時期だ。朝起きる時、昼食後、仕事中などのストレスなど、眠気を引き起こすシーンは数多い。花粉症で頭がボーッとすることもある。
そして運転中にも眠気を感じることだって珍しくない。日頃の睡眠不足が積み重なっていたり(睡眠負債と呼ばれる)、暖かい陽射しと走行による揺れ、ほどよい空調など、眠気を誘う要因が揃いまくっているからだ。
居眠り運転が極めて危険であることは、ここで説明するまでもないだろう。居眠り運転の危険性は想像しただけで分かるはずだ。
道路交通法に直接的に居眠り運転を規制したものはなく、居眠り運転を要因とする交通事故は、「安全運転義務違反」(道路交通法70条)や「過労運転」(道路交通法66条)、「漫然運転」のいずれかに該当する。
安全運転とは「車両等の運転者は当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ばさないように速度と方法で運転しなければならない」。当然、正常な運転をしていない時に違反となる。
過労運転とは、過労、病気、薬物の影響その他の影響や理由により、正常な運転ができないおそれがある状態。漫然運転とは、集中力や注意力が低下した状態で前方を見て運転しているものの、ボーっとしていたり、考え事をして運転に集中していない状態。
警察庁「令和3年中の法令違反別の交通事故発生状況」に見ると、過労運転による事故件数は424件で対前年比+16.5%、漫然運転による事故件数は2万2318件数で対前年比-3.3%。とはいえ、安全不確認、脇見運転、動静不注意に次いで漫然運転は4位に入るなど上位に入っている。
また警察庁「令和3年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」の法令違反別死亡事故件数では、漫然運転によると死亡事故件数は345件で1位となっている。
にもかかわらず、居眠り運転に対する罰則はそれほど厳しくない。というのも通常、居眠り運転だけで検挙されることは少ない。
居眠り運転によって交通事故を起こしてしまい、その行政処分を受ける場合は安全運転義務違反となる。安全運転義務違反による事故の場合には反則金9000円(普通車)で、実務上、反則金を支払えば刑事訴追されることはまずない。
仕事が激務で睡眠不足などが原因、あるいは長時間運転を続けた結果の居眠り運転による事故となれば、過労運転とみなされることもある。反則金はなく、25点で一発取り消し、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となる。
いかがだろう、本人に悪意がないとはいえ、交通事故を起こしてしまった割には罰則が軽い印象ではないだろうか。ただし人身事故などを起こしてしまえば刑事罰を受けることもありえるし、相手のケガや損害などによっては多額の賠償金や示談金を支払うことになる(そのために自動車保険に加入するのだ)。
居眠り運転をすると自分の命が危険であるだけでなく最悪の場合、免許取り消しや結構な罰金が科せられるのだ。
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