自動車の歴史は発明の歴史。100年以上前に自動車が生み出されて以来、現在に至るまでにいくつもの革新的な自動車が登場してきた。なかには残念な結果に終わったモデルもあるか、自動車業界の変革につながるエポックメーキングなクルマもまた多い。
今回は、その革新性において後の自動車業界に多大な貢献を果たしたクルマたちを紹介していこう。
文/長谷川 敦、写真/メルセデスベンツ、フォード、トヨタ、ホンダ、FavCars.com
【画像ギャラリー】あの技術がなければ今がなかった! 先進技術のパイオニアを探る(13枚)画像ギャラリーこれぞ天下の大発明!? ガソリン自動車はドイツで誕生! 「ベンツ パテント・モトールヴァーゲン」
19世紀に入ると蒸気機関が世界各国で本格的に使用されるようになったが、この機関を使用した自動車は1769年にすでに誕生していた。それがキュニョーの自動車だ。だが、蒸気機関は大きくて重く、鉄道には適していても街中を走る自動車には不向きだった。
そうした問題を解消するため、蒸気機関の改良や電気自動車の模索なども行われた。そんななか、ドイツ人のニコラス・アウグスト・オットーは石炭ではなく石油を精製して作られたガソリンを利用する4サイクルエンジンを作り上げ、1877年に特許を取得した。
この4サイクルエンジンに可能性を見出したのがドイツ人技術者のカール・ベンツだった。ベンツはオットーの特許が無効になっていることを確認すると、幾多の困難を乗り越えて軽量なガソリンエンジンを完成させ、3輪の車体に搭載した。これが世界初のガソリンエンジン車であるパテント・モトールヴァーゲンだ。後に、ベンツの会社はオットーの下で技術者として働いていたゴットリープ・ダイムラーが興した自動車販売会社と合併し、ダイムラー・ベンツが誕生する。
パテント・モトールヴァーゲンの完成は1886年。ここからガソリンエンジン車が自動車の主流になっていくのはご存じのとおり。現在でもガソリンエンジン車が最もポピュラーだが、排気ガスを出さないBEV(電気自動車)やFCV(水素自動車)の攻勢が始まっているのも事実。100年以上続いたガソリンエンジン車の時代がついに終わろうとしているのかもしれない。
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