今年は本当に地震、災害が多い。なかでも北海道胆振東部地震や台風21号による停電は長く尾を引いた(台風21号による関西での停電は小規模ながら現在も続いている地域がある ※2018年9月20日現在)。
そこでクルマの出番だ。クルマは走るだけでなく、電力を供給できるマイ発電機にもなる。
しかしいざという時、何がどこまで使えるのか? どうやったら使えるのか? について把握している人はなかなかいないのではないだろうか。
(北海道の大規模停電では、クルマは(インバーターさえ持っていれば)スマホは充電できるし、クーラー&ヒーターが付いているし、ラジオが聞けて情報も手に入るしで、最強の避難場所となっていたそう)
クルマで白物家電を使うにはどうすればいいのか? 編集部・林が実際に11種類の家電を体当たりテストし、安全で最適な使い方を大研究してみた。
使用したクルマはインバーターでの変換が必要なガソリン車「スバル フォレスター」と、直接AC100Vが取り出せる燃料電池車「トヨタ ミライ」。どんな結果になるのか、いざ実験!
- ※本稿は2018年3月のものです。
- ※フォレスターはモデルチェンジ前のものです。
- ※実際の災害時には、車体が傷み、発電用としての使用に支障をきたすケースもあります。十分注意して取り扱ってください。
- 文・写真:ベストカー編集部
- 初出:『ベストカー』2018年4月10日号
■車内で家電を使うには「ハンディインバーター」が必須!
年々進化していく「白物家電」。しかし、災害時にもし自宅に電気が来ていなかったら、ただの置物と化してしまう。そんな困った事態で頼りになるのがクルマです!
以前発生した大震災の時も、多くの人がクルマで寝泊まりをする光景が目に付きました。大勢の人が集まった避難所では、個人的に使用する電源の確保が難しく、情報収集に使用する携帯電話・スマホの充電すらままならない状況があったとも。
クルマはエンジンで発電することが可能なので、もしもの時に個人で使える発電機として活躍してくれるというワケです!
ただここでひとつ問題が……。一般的なガソリン車は、シガーソケットから電気を取り出せますが、その電気はDC12V(直流)。一般家庭用コンセントの電気はAC100V(交流)なので、そのままでは使えません。
そこで登場するのが、DCからACへと電気を変換してくれる「インバーター」。しかし、白物家電を使うのに最適なインバーターがわからない……という人も多いと思います。
今回使用したのは、カー用品量販店などで多く流通しているDC12V(直流)対応のインバーター(実勢価格8400円・税込)。
し編集部 林、じつはこのインバーター購入の時点で大きなミスを犯していたのです……。
■フォレスター+ハンディインバーター
■インバーターで変換したら、白物家電はどこまで使える?
まずテストするのはDC12V→AC100Vへの変換が必要なフォレスター。フォレスターなどのSUVには、運転席とラゲッジにDC12Vのソケットが設けられているクルマが多いので、電気を取り出す時に重宝します。
さてテストのほうですが、まずは定格消費電力の低いものから始めて、携帯電話の充電や、加湿器などの序ノ口級(勝手に命名!)は、ノープロブレム。だったものの、そんなに白物家電は甘くなかった……。
インバーターの定格出力が400W(最大出力600W)ということで、大関級には大苦戦、1000W超えの横綱級家電になると、もはや手も足も出ない状態に。
■実はインバーター選びで失敗が!
定格消費電力に対して容量が足りていないのだから使えないのは当たり前、と感じられるかもしれませんが、実はここにはもうひとつ、大きな落とし穴が。それはインバーターで変換される電気の「波形」。
インバーターで変換する電気の波形には、一般家庭用の電気と同じキレイな波形の正弦波(せいげんは)と、ブロック状の直線的な波形、矩形波(くけいは)の2種類があるのですが、今回実験にあたって購入したインバーターの波形は矩形波だったのです。
近年の電化製品はマイコンで高度に制御されたものが多くなっています。マイコンは正弦波で使用するものなので、矩形波では定格出力が足りていても動かないとい、うことになってしまうのです。
コメント
コメントの使い方