SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)は、1990年代に入ってから一般化し、今や世界的な一大ブームの真っ只中。昭和の時代はクロスカントリー4WDと呼ばれ、悪路を活躍の場とする特殊な4WDモデルというイメージが強かったのも今は昔だ。
新型が話題のスズキ ジムニーやトヨタのランドクルーザーも、そんな悪路を得意とする“本格派”の代表格。一方、舗装路でも運転しやすい乗用車ベースのライトSUVも人気を集めている。
特に昨今は、ブーム化に伴い、各社「SUVなら何でもよし」と言わんばかりに、続々とモデルを送り出していることもあり、その立ち位置や得意分野は一層多岐にわたるようになった。
そこで本稿では、本格派とライトSUVに分けて、サイズ別のオススメ車を選出。「オススメだけれど、こんなユーザーは買うべきでない」という点もあわせて、自分に合ったSUV選びの参考にしてほしい。
文:片岡英明/写真:編集部
本格派SUVの推奨モデルと「買うべきでない」ユーザー
■本格派SUV【コンパクト】:スズキ ジムニー
本格派SUVとしては、コンパクトクラスだとジムニーか兄弟車のジムニーシエラがおすすめ。
ラダーフレームと副変速機を備え、悪路の走破性能は文句なし。最新モデルはオンロード性能と快適性能も大きく向上した。長く付き合えるし、手放すときも値落ちが少ない。新型が登場したばかりで納車には時間がかかるが、いい買い物になるはずである。
ただし、軸足は悪路の走破性に置いているから舗装路主体の走りなら他の車を選んだほうがいい。キャビンは前席優先だし、2ドアだから後席重視派にも不向きだ。広さや快適性を重視する人にはハスラーがいい。
■本格派SUV【ミドル】:スバル フォレスター、日産 エクストレイル
ミドルクラスは、日本車にはフレーム付き、副変速機付きのSUVはない。だが、モノコックボディ、電子制御式の4WDでも最新モデルの走破性能は高いレベルにある。
トータル性能が高いオールラウンドプレイヤーは、スバルのフォレスターだ。最新モデルはヨーロッパ製SUVを凌駕する走りの実力を秘め、高速道路、山岳路でも余裕ある走りを見せる。自慢のXモードも2モードタイプに進化し、砂利道や深雪での走破性能を高めた。
アイサイトに代表される安全装備の実力も一級だ。ハイブリッド車のe-BOXERもモーターの存在感を増すなど、いい仕上がりだが、それ以上に気持ちいい走りを見せるのは直噴の2.5Lモデルだ。
ただし、2WDの設定はないし、ハイブリッド車でも燃費はそれなりだ。ムード派には向かない。
オフロードでタフな走りを、というなら日産のエクストレイルがいい。道具として使い倒すことができ、アウトドアシーンにも似合う。電子制御4WDは、悪路や雪道で非凡な実力を見せる。ガソリン車には3列シート仕様も設定した。また、自動運転技術のプロパイロットも設定され、魅力を増している。
が、一世代前のSUVの運転感覚だ。基本設計の古さが顔を出す場面もあるから、ハンドリングに強いこだわりを持つ人には向かない。
■本格派SUV【ラージ】:トヨタ ランドクルーザー
フルサイズの本格派SUVは、世界が認めるトヨタのランドクルーザーをおすすめしたい。フラッグシップの200系に目がいくが、その下のポジションを受け持つプラドでも走破性能は一級だ。
特にクロールコントロールやエアサスなど、悪路走破用の電子制御デバイスを装備した「TZ-G」は驚異的な走破性能を誇る。日本では200系より機動性が高く、扱いやすい。いざというときには7人が乗れ、少人数のときは荷物もたくさん積める。
2.8Lのディーゼルターボも余裕たっぷりだ。ガソリン車は上質なV6エンジンを整理し、これに代わって送り出された2.7Lの4気筒エンジンは前述のディーゼルと比べると少し余裕がない。
弱点は、乗用車をベースとしたSUVと比べると運転のしやすさや高速道路での快適性に難があることである。日常の取り回し性や乗降性も今一歩だ。
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