電車の車内に自転車を持ち込める鉄道が徐々に増えてきている。春や秋の行楽日和、外で健康的に過ごしたいならトレイン&サイクルがおもしろそう。
昼間の買い物などのために、朝晩の混雑時間帯以外に自転車を持ち込めるローカル私鉄がある一方、レジャーとしてのサイクリングに特化し、2018年から房総地区で運行されているJR東日本の「B.B.BASE」といったサイクリスト専用列車も出現している。JR西日本では、きのくに線(紀勢線)のサイクルトレインが好調で、2022年4月からは区間をC御坊~新宮間に拡大し、通年実施することになった。ローカル線では駅に降り立った後の交通機関が不便なことも多いので、ガチのサイクリストだけではなく、観光目的の旅人にも注目されつつある。
文・写真/服部朗宏
【画像ギャラリー】自転車でGO!! 自転車を持ち込める電車で、トレイン&サイクル(8枚)画像ギャラリー全国で増えている!! 自転車持ち込み可能な鉄道
電車内に自転車を持ち込むときは、多くの場合解体して「輪行バッグ」などの専用の袋に入れる準備が必要。だが、解体せずに自転車をそのまま車内に持ち込める鉄道は今では意外に多い。ローカル線の一部区間で、しかも日中時間帯など限定というケースが大半ではあるが、常時実施の鉄道では北は青森の弘南鉄道から、南は鹿児島の肥薩おれんじ鉄道まで、全国に点在している。期間限定や試験的な実施を加えればその数はもっと増える。ただ、目的地の最寄り鉄道が自転車持ち込みできるかどうかや、持ち込みできる曜日や時間帯、区間、指定列車、持ち込み料金の有無などの詳細は毎年変わっているので、まずは鉄道会社のホームページを見て、サイクルトレインの実施状況をあらかじめ確認するのが肝要だ。
とはいえ、自転車を解体せずに持ち込めるのはとても便利。マイ自転車だけではなく、レンタサイクルも持ち込めるので、大きな駅や宿泊先で借りた自転車を電車に持ち込んでちょっとした距離を移動し、下車後に自転車でいろいろ回るといった旅のアレンジも可能となる。
乗客増加を目指して自転車持ち込みOK。ローカル線での取り組みいろいろ
地元住民の買い物利用などを目的に日中時間帯の電車に自転車を持ち込める取り組みはローカル私鉄が古くから行っている。関東では群馬県の上毛電鉄で2003(平成15)年からと既に20年近くの歴史がある。最初は有人駅のみで試験的に実施したが、その後2005年からは全駅に拡大し、高校生や車を持たない人たちに便利な存在としてすっかりおなじみなった。利用時間は2022年の場合、土日祝日が終日全区間、平日も中央前橋発は7:47から終電まで、西桐生発は8:00から終電までと、他の鉄道に比べると制限が少なく、高校生の通学にも利用できる。しかも、持ち込み料は無料というから太っ腹だ。さらに、中央前橋、大胡、赤城、西桐生の各駅では電車利用者限定で無料レンタサイクルを実施している。
https://www.jomorailway.com/cycletrain.html
三重県と岐阜県にまたがる養老鉄道もサイクルトレインで有名だ。山間を走る同線は沿線にサイクリングロードも多くあり、サイクルトレインに力を入れている。持ち込み可能な時間帯は土日祝日は全列車、平日は9:00頃~15:00頃の指定列車となっていて、自転車持ち込みが可能な列車には全部と後部に自転車をイメージした丸いマークが掲げられている。持ち込み可能区間は2022年現在全駅に拡大され、持ち込み料金は無料だ。養老鉄道でもレンタサイクルがあり、借りられるのは多度、駒野、養老、西大垣、揖斐、池野、広神戸の各駅。料金は場所により異なり、無料~1日1000円。詳しくは養老鉄道ホームページで確認できる。
https://www.yororailway.co.jp/cycle/
電車で観光する場合、駅に降りてからの交通機関が不自由な場合が結構多くあり、こうしたレンタサイクルやサイクルトレインは上手に使うととても便利なツールとなる。
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