あれは2017年のこと。AMG創立50周年の記念事業としてコンセプトカーが発表されたPHEVハイパースポーツカー「メルセデスAMG ONE」。
当時隆盛を誇ったメルセデスF1から名付けられたメルセデスAMG ONEが、AMG創立55周年となった2022年6月、とうとう正式に発表された。
公道のF1、メルセデスAMG ONEをご紹介する。
文/西川 淳、写真/メルセデスAMG
■あのチャンピオン、ルイス・ハミルトンの乗るF1マシンと同じエンジンを搭載
ついに、と言うか、ようやくと言うべきか。メルセデスAMG渾身のPHEVハイパースポーツカーが正式に発表された。それまでの名称からプロジェクトが取れ、その名も「メルセデスAMG ONE」だ。ワンとはすなわちF1のワン……。
スタイリングやパワートレーンのスペックはコンセプトカーからほとんど変わっていない。
つまり、王者ルイス・ハミルトンが駆ったF1マシンと基本的に同じ1.6L・V6シングルターボエンジン(つまり、スパーギア駆動のカムシャフトや空気圧式バルブスプリングなどを採用する)に3つの駆動用モーター(フロント×2、リア×1)と電動ターボ用モーター、そして高電圧リチウムイオンバッテリーを備えたミドシップ2シータースーパーカーである。
このパワーユニット、なんと1万1000rpm! まで回るらしい(と言ってもF1の1万5000rpmやゴードンマーレーGMA T.50の1万2000rpmより低いけれど)。
■最高速は「抑えめ」の352km/h!
正式発表された注目のパフォーマンススペックは0-100km/h加速2.9秒、0-200km/h加速7秒、というもので、これらは充分に素晴らしい数値ではあるものの、コンセプト発表時の目標値よりは下回った。
驚くべきは0-300km/h加速のほうで、何と15.6秒。パワーユニット制御の優秀さが伺える数値だ。最高速は352km/hに「抑え」られている。
加速性能が目標値に届かなかった理由は、重量増の問題もさることながら、パワートレーンの制御に「万全を期した」からだと推測する。このあたり、俳句の先生風に言えば、「スペックとテクノロジー、ハイプライスの三角関係をどう捉えるかがこのクルマの評価のポイント」、になるだろう。
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