■アイスにもスノーにもより強くなったアイスガード6
立って歩くことすら危険なほどのツルツルの氷の上で、スタッドレスタイヤを履いたクルマが発進し、曲がり、止まることができるのはどうしてなのか!?
このナゾを解明するキーワードが「水膜除去」と「密着」なのだ。
ヨコハマのスタッドレスタイヤブランド『アイスガード』の最新モデルが『アイスガード6』だ。前モデル『アイスガード5プラス』に対し、トレッドゴムの配合もトレッドパターンも一新した、まさにヨコハマの総力を注入したフルモデルチェンジ、自身の一作である。
ちなみに『アイスガード5プラス』は2015年に登場したのだが、その前モデル『アイスガード5』とはトレッドパターンは同じまま、ゴムの配合の進化により氷雪路性能を高めていた。
■左右非対称トレッドパターンで氷にも雪にも強い!!
左右非対称の特徴的なトレッドバターンの『アイスガード6』は、イン側は大型ブロックを採用することで接地面積を拡大させるとともにサイプ密度を高くして氷上面に発生する水膜を効果的に除去。これらにより高いアイスグリップ性能を発揮する。
ただ、このブロックに刻まれた細い溝であるサイプは、微細にして密度を高くすればするほど、加減速Gや横Gが加わった際によれて倒れ込んでしまいやすくなり、結果的に接地面積を減らしてしまうことになる。
そのため『アイスガード6』ではサイプ内部を3次元形状とすることで、隣り合ったサイプ同士が支え合い、倒れ込みを抑制する構造、『クワトロピラミッドディンプルサイプ』を採用。これにより高密度サイプながら高いブロック剛性を実現し、接地面積の減少を抑制しているのだ。
いっぽうトレッドアウト側は溝面積を大きくするとともにブロック剛性をより高くしている。これにより雪面を踏み固め、しっかりと掴み取る効果を発揮。高い雪上グリップ性能を発揮している。雪上グリップ性能には、この踏み固めて掴み取る「雪中せん断力」が大きく効いてくる。
■氷上の水膜を吸い取るトレッドゴムは氷点下でもしなやかに氷面に密着
続いて注目すべきがトレッドゴムだ。
これまでヨコハマのスタッドレスタイヤのトレッドゴムは『吸水ゴム』が採用されていた。トレッドゴムに配合された『新マイクロ吸水バルーン』と呼ばれる微細な空洞部が、あたかもスポンジが水を吸い込むように、氷上に発生した水膜を吸収する。『アイスガード6』ではこの『新マイクロ吸水バルーン』と『エボ吸水ホワイトゲル』と呼ばれる材料を配合しているのがポイント。トレッドパターンの工夫と吸水ゴムの相乗効果で効果的に水膜を除去しているわけだ。
さらにゴム自体もシリカを大幅増量して配合。シリカはゴムの強度を高めるとともに転がり抵抗を低減し、タイヤの材料としては理想的なのだが、他の材料ときれいに混合することが難しい材料でもある。この混合技術こそがヨコハマの技術力であり、企業秘密でもあるのだが、「シリカ高反応ホワイトポリマー」の採用によりシリカを混ざりやすくし、均一分散化を促進した。
これらにより、社内テストでは氷上制動性能が15%、『アイスガード5プラス』に対し向上している。
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