■走って体感する氷雪路性能の高さ!!
実際に氷上路や雪上路を走って体感できるのが、「安心感の高さ」。氷上路ではそれこそ立っているのも危険なほどのツルツル状態にもかかわらず、プリウスのブレーキをリリースするとスルスルスルと走り出す。
アクセルペダルを慎重に、ゆっくりと踏み込むとトラクションコントロールデバイスは作動するのだが、“キュキュキュキュキュ”と氷上面を捉える音を発しながら加速。30km/hまで加速したところでブレーキペダルをガツン!! と踏み込むと、“カカカカカカッ”とABSを作動させながらも確実な減速感をドライバーに感じさせながら速度を落としていき、停止直前のABSが作動しない極低速域では“キュキュ”と路面を掴む音を発しながら停止した。この減速感は『アイスガード5プラス』よりも確実に高く、安心感に繫がるのだ。
雪上では圧雪のハンドリングコースを走る。特に印象的なのが操舵に対する応答性。ハンドルを切り込んだ瞬間にグッとノーズが向きを変えてくれるので、グリップ感がわかりやすく安心なのだ。
そこからさらにステアを切り込んでいった時の追従性も良好。速度を上げていったときに「ここまでで限界ですよ」と、滑り出しをドライバーに伝えてくれる感覚もわかりやすいため、調子に乗ってオーバースピードでコースアウトするようなこともない。氷雪路性能の総合力の高さを実感した。
■テストコースで興味深いテストを体験
北海道旭川市郊外に2018年冬に新設された横浜ゴムの冬期テストコースでとても面白いテストを体験したのでお伝えしたい。
①パターンの違いでどう変わる!?
用意されたのは『アイスガード5プラス』のトレッドゴムを採用しながらトレッドパターンだけ『アイスガード6』のものにしたテスト用タイヤ。これを純然たる『アイスガード5プラス』と乗り比べようというのだ。つまり、同じゴムでトレッドパターンの違いでどのような差異が出るのか!? というテスト。
テスト車両はプリウス、タイヤサイズは195/65R15。テストコース内の氷盤路で30km/hからの制動をする。
ブレーキペダルを踏み込んだ瞬間の初期制動感が、明らかに『アイスガード6』パターンのほうが大きく、グッと速度を落とす。結果、それより手前で止まることができた。
続いて圧雪路でのコーナリングでの比較をすると、『アイスガード6』パターンでは、『アイスガード5プラス』より上の速度域まで上げることができた。
②ゴムの違いでどう変わる!?
これはちょっと驚きの光景だった。テスト車のプリウスに装着されているタイヤにはトレッドパターンが刻まれていない。そう、ドライ用レースタイヤのスリックタイヤのようなツルツルの表面なのだ。一方にはウインタータイヤ用のゴムが、もういっぽうには『アイスガード6』のゴムが搭載されている。
これでツルツルの氷盤テスト路での制動テストをする、というのだ。
そもそも走り出すことができるのか!?
……との懸念は杞憂で、ウインタータイヤ仕様でもソロソロソロと走り出す。でも『アイスガード6』の吸水ゴム仕様に乗り換えると差は歴然。
えっ!? こんなにグリップするの!?
と驚くほど普通のスタッドレスタイヤのように速度を上げていく。30km/hからのブレーキング距離はウインタータイヤ仕様と『アイスガード6』仕様では、圧倒的な差となった。
つまり、スタッドレスタイヤはトレッドパターンの効果でも氷雪路グリップを引き出しているが、このトレッドパターンがまったくなくとも、ゴムの力だけでも想像以上のグリップ力を発揮できるのだ。
いうまでもなく、両車の相乗効果により、安定して高いグリップ性能と操縦性を引き出しているということ。
ちなみにこのスリックスタッドレスタイヤ、雪上でも思いのほかグリップするが、いったんグリップが抜けてしまうとツーっと行ってしまう。
雪上グリップにはトレッドバターンのエッジ効果、掴み取る力が必要不可欠だということを改めて認識するとともに、『アイスガード6』の高いトータルバランス性能を再認識した。
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