日本を代表するクロスカントリーモデルのトヨタ ランドクルーザーシリーズ。70年を超える歴史を持つ“ランクル”のなかでも独特の立ち位置にいるのがランドクルーザー プラドだ。都会派のランクルとも言えるプラドとはどんな経緯で誕生し、そしてどのように進化していったのか? 来年にはモデルチェンジというウワサもあるプラドの系譜をたどっていきたい。
文/長谷川 敦、写真/トヨタ、FavCard.com
【画像ギャラリー】兄に負けない存在感を示す、ランドクルーザー プラドの魅力をもっと見る(12枚)画像ギャラリーその前身はランドクルーザー ワゴンだった
本格的なクロスカントリーモデルとして1951年に生まれ、その後は海外での評価を高めていったトヨタのランドクルーザー。アメリカの荒野でも走れるタフさがウリのランドクルーザーシリーズだったが、同時に日本国内の道路事情にフィットするモデルも望まれていた。
そんな要望に応えるかたちで、ランドクルーザーでは24年ぶりのフルモデルチェンジが行われた1984年に、シリーズ初の5ナンバーサイズモデルも発表された。それがランドクルーザー ワゴンだ。
ランドクルーザーシリーズのサスペンションには悪路の走破性が高いリーフスプリングが採用されていたが、ワゴンではこれをコイルスプリングに変えて一般公道での乗り心地を改善。エンジンも本家の直6から直4へと変わり、それに合わせて全長も短くなった。しかし、外観のイメージはランクルそのものであり、日常使い適したランクルの登場に注目が集まった。
プラドの名称獲得と同時に独自路線を歩み始める
ランクル ワゴンの誕生は70系ランドクルーザー販売に連動してのことだったが、そのランドクルーザーの新型80系が登場した翌年に、ライトモデルのランクル ワゴンには「プラド」の名称が与えられ、本流から独立することになった。
ワゴンでは3ドアのショートモデルのみだったが、この新生プラドでは5ドアのロングタイプも登場。エンジンはワゴンから踏襲される2.4リッター直4ガソリン&ディーゼルをベースに、電子制御化やターボチャージャーの装着によってチューンナップされている。
大きく変わったのはその顔つき。ランドクルーザーのイメージを色濃く残したワゴンに対し、フロントグリル回りが変更され、なによりも丸型2灯から角型2灯に変わったヘッドライトが新たなモデルの誕生を強調していた。
クロカンと街乗りのややどっちつかずの印象もあったワゴンに比べると、プラドはより乗用車テイストを強く打ち出し、5速マニュアルのみだったトランスミッションも電子制御4速フルオートマが追加されるなど、運転のしやすさも配慮されていた。
ベースとなったランクルとは異なる路線を進むことになったランドクルーザー プラドは1990年に販売が開始される。なお、プラドに先行して販売された80系ランドクルーザーは、北米やオーストラリアなどのマーケットに合わせてそれまでよりボディを大型化し、装備も充実させて高級感のあるSUVへと進化していた。こうした事情もあって、プラドは本家ランクルとは異なる層のユーザーに支持されていくことになる。
1993年に実施されたマイナーチェンジでは、3リッター直4ディーゼルターボエンジン搭載モデルが追加された。それ以前は非力なイメージもあったプラドだが、これで動力面でも十分な性能を持つことなり、売り上げ向上にも高い効果をもたらした。ちなみに初代プラドの新車価格は約200~320万円と幅広かった。
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