90系プラドのターゲットはあのクルマだった!?
フルモデルチェンジされた新型プラドのリリースは1996年。モデルサイクルの長いランクルシリーズでは異例とも言える早期のモデルチェンジだが、これはプラドが本家から完全な独立を果たした証拠でもある。
プラドのサブネームが与えられ独自路線になったとはいえ、初代プラドの型式はランドクルーザー70系のままだった。しかし、新型プラドは新たに90系の型式を得て、明確な差別化を行っている。
90系プラドはトヨタ ハイラックスとフレームやエンジン、駆動系とサスペンションを共用し、独自のボディが組み合わされた。フロントサスペンションがダブルウィッシュボーンになったのも特徴のひとつで、これは乗り心地を重視してのこと。ボディは先代と同様に3ドアと5ドアが用意されたが、3ドアモデルのルックスはある車種を明らかに意識していた。
この時代のSUVカテゴリーで圧倒的な人気を誇っていたのが三菱自動車のパジェロ。90系プラドがパジェロをターゲットに開発されたのは間違いなく、その結果として見た目もパジェロ的なものになってしまった。これには賛否両論があったものの、それだけパジェロの強さが際立っていたことを示している。
70系プラド後期モデルの国内販売車はディーゼルエンジン仕様に絞られていたが、90系ではガソリンエンジン車も復活。シリーズ初のV6エンジンモデルも誕生している。さらにボディバリエーションも3ドアショートと5ドアロングに加えてキャンピングカー仕様も用意されるなど、ラインナップの豊富さも90系プラドの魅力になっていた。
高級志向になって北米ではレクサスに!
3代目120系プラドの登場は2002年10月。この世代のプラドでは高級志向がより強くなり、北米ではトヨタのアッパーブランド・レクサスからGX470として販売された。同時にヨーロッパ市場も考慮され、外観デザインにその影響が強く感じられる。
電子制御化が大きく進んだのも120系プラドの特徴だった。リアには電子制御エアサスペンションが装備され、VCS(ビークルスタビリティコントロール)やアクティブTRCも搭載。マニュアルトランスミッション車が廃止されているのは時代の流れとも言えた。
モデルチェンジ当初は90系と共通だったエンジンも、2004年に直4、2005年にはV6が新型になった。V6エンジンは排気量が3.4リッターから4.0リッターへと拡大され、パワーも249psに引き上げられている。
ハイテク化はさらに進む! 熟成の域に達した4代目
2009年にデビューしたのが現行型150系プラド。先代で打ち出した高級化路線はさらに進み、ボディも5ドアロングのワイドのみに絞られた。これでランドクルーザー ワゴンから引き継がれてきた3ドアモデルが消滅してしまったことになる。
ハイテク技術の投入に拍車がかったのも150系の特徴と言える。シーケンシャルスタイルの5速オートマチックトランスミッションの装備や、走行する路面に応じてエンジンのスロットル特性とアクティブトラクションコントロールブレーキの油圧を最適に制御するマルチテレインセレクト機能の搭載など、21世紀の技術がふんだんに盛り込まれている。
120系ではラインナップされていなかったディーゼルエンジン搭載車がこの150系では復活し、エンジンは2.7リッター直4ガソリンと2.8リッター直4ディーゼルターボの2タイプからチョイスできる。また、日本国内ではV6ガソリンエンジン搭載モデルの設定はない。
現代のクルマらしく衝突回避機能やクルーズコントロール、パーキングサポートブレーキなどの走行安全装備も充実。街乗りにも適したミドルクラスSUVとしては申しぶんない内容を持つプラドは、すでにランドクルーザーの亜流ではなく、ランドクルーザー プラドというひとつの確固たる車種となっている。
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