2019年に日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表したデータによると、2019年に販売された国産乗用車のトランスミッションは約98.6%がAT(CVTなどを含む)で、MTは約1.4%と絶滅危機に瀕している。
そんな中で、約1,300台流通している中古車のうち、約71.8%の約930台がMT車という車種がある。それがスズキスイフトスポーツだ。
4世代あるスイフトスポーツのうち、2代目から現行モデルの3世代は国産の数少ないホットハッチとして老若男女問わず人気になっている。
今回は、テンロクと呼ばれる1.6Lエンジンを搭載し、二桁万円から手に入れることができる旧型スイフトスポーツの魅力に迫る。
文/萩原文博
写真/ベストカーweb編集部、スズキ
■現行のターボより気持ちいいテンロクNA
3代目となる先代スイフトスポーツは、2011年11月に発表、12月から販売開始された。コンパクトカーのスイフトをベースに、スイフトシリーズの走りを象徴する「The sporty flagship」をコンセプトとして開発したモデルとなっている。
現行モデルは全幅が1,735mmまで拡大され3ナンバーサイズとなっているが、旧型のボディサイズは全長3,890mm×全幅1,695mm×全高1,510mmの5ナンバーサイズとなっている。
先代スイフトスポーツのボディ骨格には高張力鋼板を積極的に使用するとともに、ホイールやタイヤ、ブレーキなどの軽量化によりバネ下重量を軽減。その結果、6速MT車は衝突安全性能や走行性能を高めながらも車両重量は約10kg軽量化を実現している。
サスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式。フロントサスには、大型化すると同時にリバウンドスプリングを内蔵。リアサスは、旋回時の安定性を高めるための専用設計となっている。
これにより、操舵に対するリアの追従性を高めるとともに、ロールを抑えてより機敏なハンドリングを実現しているのが特長だ。さらに、ショックアブソーバーにはスポーティな走行に特化した減衰特性とした、モンロー製を装着するこだわりぶり。
熱い走りに対応できるように、前後に大径のディスクブレーキを採用。フロントブレーキローター幅を厚くし、ブレーキブースターを最適化することで制動力を高めている。また、リアブレーキキャリパーには軽量化を施した。
搭載されているエンジンは、M16A型1.6L直列4気筒DOHC。可変吸気システムの採用や、吸気VVT制御の最適化、バルブリフト量の増加、冷却システムの改善など専用チューニングを施し、徹底した高効率化を図ることにより、最高出力136ps、最大トルク160Nmを発生する。
組み合わされるトランスミッションは、加速性能と燃費性能を両立させた、新開発の6速MTを採用。2~5速ギヤをクロスレシオとして優れた加速性能を発揮させると同時に、6速ギヤを追加することで燃費性能をJC08モードで14.8km/Lまで向上させている。
インテリアは走りへのこだわりが散りばめており、精悍な黒基調のインテリアは、シート、ステアリング、シフトブーツにレッドステッチを効果的に施すことで、スポーティーな雰囲気を強調している。
また専用のフロントシートは、スポーツ走行時などに体をしっかり支えるバケットタイプを装着。また、操作性に優れた大型のステンレス製ペダルプレートを採用している。
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