1989年9月にデビューした初代ユーノスロードスターは、2シーター+オープンスポーツカーという、古典的なクルマ作りの手法を甦らせ、クルマの楽しさはパワーだけではなく、操る楽しさにあることを世に訴えたのです。
人とクルマが一体になる「人馬一体感」を再発見させてくれたクルマでした。
日本が世界に誇る名車を新元号になっても乗り続けてほしいという思いから、この初代ロードスターのオーナーさんの生の声をはじめ、精通するプロフェッショナルにもパーツの状況や維持費、クルマの魅力を語ってもらいました。
はたして、初代ロードスターには、どんな処方箋が出るのでしょうか?
文/松村 透 (クルマ業界に精通するディレクター兼ライター)
写真/松村 透
初出/ベストカー2018年12月10日号
■NA6CE/NA8C Roadster(1989年9月〜1997年12月)
歴代ロードスターのなかでも「初代モデルでなければ」というユーザーは多い。ボディカラーや内装の雰囲気次第では輸入車に間違われることも。もはや、時代を超越した美しささえ感じられる佇まいだ。
■初代ロードスターオーナーの生の声
まずは初代ロードスターのオーナーさんに、維持していくコツ、長く乗る秘訣、どんなことに魅力があるのか、聞いてみた。
■大川 亨さん(50歳)「このクルマを通じ、たくさんの友人ができました」
●所有車:1990年式ユーノスロードスターVスペシャル
●購入時期:1990年(新車購入)
●所有年数:28年
●走行距離:15万㎞
●購入価格:約250万円?(失念)
新車で購入して以来、28年間所有しているという大川さん。手に入れようと思ったきっかけを伺ってみた。
「運転した時の手応えや、オープンカー特有の気持ちよさに魅了されました」
実際に手に入れてみて、よかったことは?
「このクルマを通じて、たくさんの友人ができたことです。この取材もそうですがロードスターを手に入れたからこそつながった〝縁〟は確実にあるように思います」
マツダが2017年12月からNA型ロードスターのレストアサービスを始めたとはいえ、純正部品の入手に苦労するようなことはあるのだろうか。
「特に苦労はありません。以前は幌が欠品していましたが、再生産のおかげで手に入るようになりました。一過性ではなく、どうか長く続けてほしいです。
ただ、Sリミテッドという赤い内装の限定車に乗る友人は、クラッシュパッドやシートベルト、内張りの部品が欠品で困っていますね」
多くの限定車が発売されたクルマだけに生産数が限られているモデルほど純正部品の入手に苦労しているようだ。
ところでユーノスロードスターの魅力とは?
「いろいろ手を加える余地があるところですね。ただ走っているだけで笑顔になれることも大きな魅力です」
これから手に入れようと思っている方にメッセージを。
「古い年代のクルマになりつつあります。長期間、動かしていなかった個体を直すにはやはりお金がかかります」
程度のよい個体を探すなら、見た目や走行距離だけにとらわれないほうがいいのかもしれない。
■田澤 昇さん(59歳)「ロードスターは父と娘の絆を結ぶ大切な存在」
●所有車:1992年式ユーノスロードスターVスペシャル
●購入時期:2009年
●所有年数:9年
●走行距離:約13万㎞
●購入価格:43万円
9年前にユーノスロードスターを手に入れた田澤さん。これが2台目だという。
「以前、5年ほど所有していたのですが、もらい事故で廃車となり、知人のクルマを乗り継ぎました。サーキット仕様だったため、大幅に手を加える必要がなかった点もよかったです」
純正部品の入手に苦労するようなことはあるのだろうか。
「意外に思われるかもしれませんが、ありません」
田澤さんのお嬢様もロードスターに乗っているという。しかも、サーキット走行までこなす本格派だ。
「ショップが主催する走行会へ参加し、常勝チームの方々に娘に運転を教えてくれと頼み込みました。娘は数台のNB型(2代目)を乗り継ぎ、今はNA8C型を所有しています。親子2台でサーキットを走っています(笑)」
父と娘にとって、ロードスターは親子の絆を結ぶ大切な存在なのだろう。
「マツダには『このクルマを作ってくれてありがとう!』と伝えたいです。同年代のスポーツカーを運転したあとに乗ると『正確な挙動を示すクルマであること』が実感できます。
サーキットでも持てるパワーを目いっぱい使えば、ハイパワーのスポーツカーを追い回せます。ただし、コーナーでの話ですが……」
未来のオーナーへひと言お願いします!
「まず信頼できるショップとのつながりを持ち、そのうえで自分がクルマに求めることをしっかり伝えてください」
信頼できる主治医の存在があってこそ、充実したカーライフが送れるのだ!
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