ひと口にクルマの運転といってもドライバーによってその内容は変わる。ペダルやシフトの操作に思わぬ性格が出たりするが、ハンドルの回し方もまったく同様。うまいヘタの違いだけでなく、なにげない習慣などが動作に出てしまうのだ。
とはいえ安全運転のためには一定のセオリーは押さえておきたい。そこで特徴的なハンドルの回し方を紹介するとともに、スムーズで確実な操作を行うにはどんなハンドル操作がいいのか、紹介しよう。
文/ベストカーWeb編集部、写真/Adobestock、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】F1ドライバーも習った! スポーツ走行のハンドル操作を詳しく(6枚)画像ギャラリー内がけハンドルは操作が大きくなりがち
まずは特徴的なハンドル操作をいくつか紹介する。最初は「内掛けハンドル」だ。
内掛けハンドルとは、ハンドルの円周部分を内側からつかんで回す操作法を指す。ダンプやバスなど、ハンドルが寝ていて大きいクルマではいまだに主流だが、かつてパワーステアリングが存在せず、ハンドル操作に力が必要だった(俗にいう「重ステ」)時代には乗用車でも一般的だった。現在でも年配のタクシー運転手さんなどがこの回し方をするが、腕力に自信がない女性が行うケースもときどき見かける。
この回し方、確かにハンドル操作に力が入っていいのだが、いくつか欠点がある。まず大きいのは、ホイール部分の内側に手を入れて「グイッ」とハンドルを回すため、ハンドルを切る量が大きくなりがちなこと。2番目に、なんらかの理由でハンドルを戻さねばならないとき、戻し操作が遅れること。3番目に、肩がシートから離れてしまって上体が不安定になることだ。
交差点などを内掛けハンドルで曲がると、クルマが予想以上に曲がりすぎてヒヤッとすることがある。また、とっさにハンドルを反対に切り戻さなければならないとき、内掛けでは操作が遅れることもある。ハンドルは常に左右どちらにも切れる状態にしておくほうが安全だ。
職業運転手の模範ともされた送りハンドル
たとえばハンドルを右に切るとき、時計針の2時から6時の位置まで右手でハンドルを回す。これとシンクロするように左手で右手を迎えにいき、左手で6時から10時の位置までハンドルを回す。これを繰り返すハンドル操作を「送りハンドル」という。
送りハンドルは腕の動きが抑えられるので、外から見ていると落ち着いた運転に見える。実際ロールス・ロイスなどを運転するショーファー(専任運転手)はこのハンドル操作を理想とし、「外から白い手袋が見えるハンドル操作は下品」と教えられた時代もあったそうだ。
送りハンドルは上半身が動かず、視点がブレない点は利点だが当然欠点もある。片手で大きくハンドルが切れないため、曲がりくねった道などで操作が忙しくなる点だ。ワインディングなどをハイペースで走る際は、この操作法では限界があるだろう。
コメント
コメントの使い方