ガソリン高騰が続き一時はどうなるかと思った2018年後半。11月頃には145円/Lを超えていたレギュラーガソリンも12月20日現在ではだいたい137円/L程度にまで落ち着いた。
しかしガソリン価格は世界情勢に左右されるもので、価格は急激に上昇し、何事もなかったかのように落ち着いてくる。
そんなガソリンの代替燃料として話題をさらったのがバイオ燃料。日本でも本格化するなんて言われていたのに……。そんなバイオ燃料がなぜ日本で普及しないのか迫ります。
【バイオ燃料とは?】
バイオ燃料とはバイオマスと呼ばれる有機性資源(自動車用燃料はサトウキビやトウモロコシがメインだがバイオガスでは生ごみなどの廃棄物も含む)を処理して、ガソリンの代替燃料にしたもの。
ガソリンのみならず軽油の代替燃料となるバイオ軽油も存在し、乗用車のみならずバスや艦船などにも使用される。
自動車でバイオ燃料を使う場合は専用の装備が必要となるが、すでに海外では一般車にも流通している。
文:ベストカー編集部/写真:トヨタ、AdobeStock
ベストカー2018年12月26日号
■国はバイオ燃料についてどんな政策をしいているのか?
ガソリン価格、上昇したり下降したり、なかなか先が読めないですね。バイオ燃料のような新しいエネルギーが実用化されることで、原油価格が下がることを期待している人も多いでしょう。
バイオ燃料が普及していない理由は、国のバイオエタノールの導入目標が小さいこと、バイオ燃料の使用義務がないこと、国内に製造業者がほぼないことが挙げられます。
まずは政策面をみていきましょう。エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する「エネルギー供給構造高度化法」という法律があります(2009年成立)。
このなかで、2011年度〜2017年度までのバイオ燃料の導入目標量が決められました。ちなみに、2017年度で導入量が原油換算で目標50万kLとなっています。
日本は1年で原油を1億8700万kLほど輸入しているので、微々たるものでしかないのがわかります。ちなみに、日本のバイオ燃料自給率は2015年で2%とまだまだです。
2018年度の「資源・エネルギー関係予算の概要」によると、バイオ燃料の生産システム構築のための技術開発事業に24億円を投入しています。
そのなかで、商用化可能なコスト競争力を持ったセルロース系バイオエタノールの大規模生産システムを2020年までに確立を目指すとしています。
■日本にもあるバイオ燃料生産設備
コスト面が課題となり、一部のバイオエタノールを地産地消している事例を除き、北は北海道から南は沖縄まで10以上あった事業のすべてが継続を断念しています。
そんななか、11月2日に株式会社ユーグレナがバイオジェットディーゼル燃料製造実証プラントを竣工。2025年に商業プラント稼働、2030年にバイオ燃料を年100万kL供給する目標を掲げています。
ユーグレナは2010年からバイオジェット燃料の研究を開始しており、横浜市やいすゞ自動車、ANA、千代田化工、伊藤忠が協力している期待大のプロジェクトです。
ただ、気になるのがユーグレナの業績です。このプラントの製造費用関連で64億円を費用計上しているからなのですが、2019年は67億円の営業損益となる見込み。
過去のバイオ燃料事業がすべて採算が取れずに事業継続を断念していることを考えると、ユーグレナにも試練が訪れるかもしれません。今後のバイオ燃料の発展にも期待ですね。
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