ヤマハは、2015年にバイク用の自律走行ロボ、2017年に自立バイクを発表してきた。これらの技術を活かした新たな運転支援システム「AMSAS」(アムサス)を公開。5km/h未満での走行時に制御を行い、立ちゴケや握りゴケを防いでくれる夢のようなシステムだ。
シンプルな構造が特徴で、既存バイクへの装着も容易なのがポイント。果たして市販化できるのか? 価格はどうなるのか? 注目だ。
文/沼尾宏明
【画像ギャラリー】ヤマハAMSASほか交通支援システムの詳細を見る!(9枚)画像ギャラリー前輪とハンドルを制御し、停まっていても倒れない!
クルマに比べ、バイクの安全技術は遅れている。搭載スペースに限りがある上に、二輪という不安定な特性から複雑精緻な制御が必要だからだ。
そんな中、ヤマハ発動機が11月11日、都内で「安全ビジョンおよび技術説明会」をプレス向けに実施。代表取締役社長の日高祥博氏と、技術・研究本部長の丸山平二氏が会見を行った。
ヤマハは、人と機械を一体化させることで悦びや興奮を生み出す「人機官能」をモノづくりの大きなテーマに掲げてきた。その強みを活かし、新たに「人機官能×人機安全」を同社の安全ビジョンに制定。運転支援などの「技術」、安全教室の拡充といった「技量」、クラウドを活用した「つながる」の三本柱で、2050年の交通事故ゼロを目指すという。
中でも注目は、初公開された「Advanced Motorcycle Stability Assist System」(AMSAS=アムサス)と名付けられた独自の二輪安定化支援システムだ。
前輪とハンドルにアクチュエーターを装着。6軸IMU(慣性センサー)の情報を基に、モーターによる前後移動の駆動力と、ステアリングの操舵力で自動的に車体バランスを取り、自立する仕組みだ。
5km/h未満で作動し、立ちゴケやフロントブレーキのロックによる転倒(いわゆる握りゴケ)を防止。Uターンのように極低速での旋回でも倒れることがない。なお停止中も自立をキープするため、足を下ろす必要さえないのだ。
一方、5km/h以上の速度ではアシストが入らないので、バイクならではの操る楽しさを損なうことがない。
会場に展示された車両は、ガソリンエンジンのYZF-R3をベースに電動(EV)化した研究段階のモデル。エンジンにもAMSASは搭載できるが、より制御のタイムラグが少ないEVの方が自立には向いているという。
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