日産自動車株を43%保有する筆頭株主のルノーが、日産への出資比率を見直すための両社の交渉が大詰めを迎えている。一部報道では、早ければ2022年12月7日にもアライアンスについての発表を行う可能性もあるが、合意がまとまらなければ2023年にずれ込む見通しだという。
今後の両社の関係が変わっていくことでクルマ作りはどのように変わっていくのか、桃田健史氏がグローバル視点と国内視点の両方から分析した。
文/桃田健史、写真/NISSAN、RENAULT
■日産とルノーは対等関係になるのか?
ついに、日産とルノーとの関わり方が変わりそうだ。
ざっくりと表現すれば、日産とルノーは”対等の関係”になることが考えられる。そうなると、日産とルノー各々のクルマ作りはどう変わり、その結果としてどのようなクルマが市場に登場することになるのだろうか?
現時点(2022年12月2日現在)、報道ベースではさまざまな話が聞こえているのだが、正式な形では2022年10月10日に「アライアンスについての共同声明」というニュースリリースを日産が出している。
ここでは、ルノーグループと「アライアンスの強化とその将来に向けて、現在多岐にわたる議論を重ねている」という表現をしている。
議論の内容として、3点を挙げている。
■日産とルノーとの間の3つの議論
ひとつ目は、「各市場や商品、技術に関して戦略的に取り組むことを確認」だ。そう聞いても、なんだかピンとこない人が少なくないだろう。なぜならば、あまりにも”当たり前のこと”だからだ。
ルノー日産三菱アライアンスでは、これまでに、3社各々が得意とする市場、商品、技術での「リーダー」を設定し、ほかの2メーカーが「フォロワアー」になることで、3社が効率的な経営環境が実現するとしてきたし、そうした活動を加速されている真っ最中だ。
そんな”当たり前のこと”を確認すると表現するのは、ルノーから日産への出資比率が変わっても、「これまでどおりの”戦略的な関係性”を保つための努力をする」という意味が含まれているのだと、筆者は見る。
■ルノーが設立するEV関連の企業に日産が出資
日産とルノーの議論のふたつ目は、ルノーが新規に設立するEV(電気自動車)関連の企業に対して、日産が出資するというものだ。
その額について、一部報道では5億ドルから7億5000万ドル(1ドル148円換算で、740億円から1110億円)とも言われているところだ。
そして、3つ目は、「アライアンスの持続可能な運営やガバナンスの実現に向けた継続的に構造的な改善に取り組むことを確認」という。
なんともわかりにくい表現だが、ひとつ目の議論点でも振れたように”当たり前のこと”を踏まえて、これからどうしていくのか、ということだと解釈できるだろう。
結局は、日産としては「これまで以上に自由に企業活動がしたい」ということに。一方、ルノーは「これまでと同じように日産とつきあいたい」、ということになる。
一部報道では、ルノーから日産に対する出資比率45%を15%まで引き下げる案が採用される可能性が高いとしている。
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