■キモとなるのは、やはりEV戦略
ルノーと日産との間の、出資比率の変更とEV新会社の詳細などについては2022年12月7日をメドに正式発表されるのではないか、という報道がある。両社ともこの点については言及していない。
このタイミングについては、やはり欧州グリーンディール政策との絡みが大きく影響していると考えるべきだろう。
日本時間の2022年10月27日、欧州連合(EU)と欧州議会が、「2035年に欧州域内で販売する新車100%を事実上、EVまたはFCV(燃料電池車)とする」法案に基本合意したのだ。
これは、2021年7月に欧州連合の執務機関である欧州委員会が欧州連合と欧州議会に対して提案していた内容だ。今回の合意によって、いわゆる法規制が確定したといえる。
■両社のEV技術のすみ分けがより明確に
日産とルノーにおけるEVといえば、2010年に日産が大手自動車メーカーとしては初の大量生産型EVの初代リーフを世に送り出した後、日産のEV技術をルノーが活用する事例がさまざまあった。
ただし、一部は「ルノー独自開発のEV技術もあり、モデルによって日産の技術とはルノーが使い分けてきた」(日産関係者)という指摘がある。
今後は、ルノーと日産の事実上の合弁企業のような形で、EV事業が分社化されるため、両社のEV技術のすみ分けがより明確になるのではないだろうか。
いわば、日産と三菱の軽EV関連合弁企業NMKVのようなイメージかもしれないが、欧州グリーンディール政策における「2035年法規」が確定した今、ルノーと日産のEV新会社の事業規模はかなり大きくなるものと予想される。
そうしたなかで、ユーザーとして期待したいのは、「リーフ」と「アリア」のEV2本立ての日産EVモデルに、ルノーの知見が入った新種EVが日産ブランドとして日本市場に登場することだろう。
ルノーとしても、欧州市場でのEVモデル拡充は必須だが、日本でもドイツ勢を中心にさらに激化することが予想されるEVマーケットに対して、ルノーらしさをふんだんに盛り込んだ斬新なEVモデルが輸入される可能性もあるだろう。
■日産とルノーの今後は
これまで、ルノーと日産との間の資本関係については、経済メディアを中心にゴーン時代からさまざまな可能性を指摘する報道があった。
だが、日本でのルノーブランドの販売台数が限定的であることもあり、日本の一般ユーザーにとって、ルノーと日産との関係については関心度があまり高くなかった。
そうした状況が、もうすぐ正式発表されるであろう、ルノーと日産との資本における対等な関係への移行と、EV新会社設立を契機に少し変わるのかもしれない。
筆者としては今後も、2社の動向をしっかりと見守っていきたい。
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