2022年4月にデビューを果たしたマツダ CX-60。計4種類のパワーユニットが設定されるなか、トップレンジであるPHEVに試乗する機会を得た。価格帯539万~626万4500円という、マツダ史上最も高額なSUVの実力やいかに!?
※本稿は2023年1月のものです
文/松田秀士、写真/MAZDA、ベストカー編集部 ほか、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2023年2月10日号
■直6ディーゼルハイブリッドとの違いはどこに?
CX-60 PHEVでの公道試乗のチャンスに恵まれた。
これまで山口県にあるMINEテストコースでプロトタイプには試乗しているが、量販モデルで公道試乗は初めてだ。
すでに直6ディーゼルハイブリッドモデルのXD3.3には試乗しているので、その違いを含めてどうよ? と比較してみよう。
ドラポジなど乗り込んだフィーリングは何も変わらない。
ダッシュボードやシートのデザインはマツダ独自の和風なテイストが心地いい。特にシートは脇の張りがほとんどないのに、試乗中の身体のホールド性、特に背中の中心をしっかりと支えるフィーリングに安心感を覚えた。
アクセルを踏み込むとPHEVゆえのモーターによる静かなスタート。
XD3.3ではステアリングからのインフォメーションがどっしりとした腰のある重めのフィーリングだったけれど、このPHEVは軽めの操舵感で軽快。
XDモデルよりも車重が軽いのか? と感じてしまいがちだがスペックを見るとPHEVのほうが120kg以上重い。
バッテリーが搭載されているから当然なのだが、その重量を感じさせないセットアップがなされている。
実際、市街地レベルの走りも軽快でストップ&ゴーや低速域でアクセルを踏んだ瞬間にグッと前に進むモーター駆動によるトルクが気持ちよい。
スタート後の加速感はXD3.3の急にトルクが高まる力感のほうが心強いが、減速時も含めたモーターのスムーズなコントロール性はかなり扱いやすい。
基本的に市街地速度レベルではモーター駆動を優先するが、アクセルを素早く多めに踏み込むとエンジンが始動して駆動に加わる。
そして元の普通の走行に戻るとエンジンも姿を消すのだ。さらにこの2.5L、直4が静かで、エンジンが駆動に参加した時の出しゃばり感がない。
もうひとつ、エンジンのトルク特性もスムーズなので、モーターとのキャッチボールでのぎくしゃく感もほとんど感じない。
新開発クラッチレスの8速ATとのマッチングもよくできていると感じた。
この新開発8速ATはプロトタイプ試乗会では繋がりのショックなどを改良点に挙げたが、今回の試乗中に違和感はなく、進化しているようだ。
スムーズなモーターとの繋がりをよく調教しているかのように見えたエンジン特性だが、ドライブモードをスポーツにチェンジしてアクセルを踏み込むと一変。
エンジントルクが中回転域で待ち構えたかのようにモーターからバトンを受け一気に力強い加速モードになる。スピーカーからの音響加勢も働き、スポーティな加速感だ。
そして多少のハーシュネスを伴う乗り心地だが、リアサス片側3個のピロボールで武装したコーナーリング重視の代償と思えば許してかまわない。
CX-60 PHEVはマツダらしい静にも動にも個性のあるモデルだった。
●マツダCX-60(プレミアムモダン)主要諸元
・全長×全幅×全高:4740×1890×1685mm
・ホイールベース:2870mm
・車重:2090kg
・最低地上高:180mm
・最小回転半径:5.4m
・パワーユニット:直4、2.5L PHEV
・エンジン:188ps/25.5kgm
・モーター:175ps/27.5kgm
・バッテリー容量:17.8kWh
・WLTCモード燃費:14.6km/L
・価格:626万4500円
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