「給油中はエンジンを停止してください」と書かれているのに、セルフスタンドでエンジンを停止しないまま、給油している人をみかけることがある。給油中にエンジンを停止することは、消防法で決められている国民の義務だ。このほか、(あまり知られていないが)決められた駐車スペースからはみ出した状態で給油することも、法令違反となる。
コンプライアンスに対する意識が高くなっている昨今ではあるが、クルマに関しては、守られていない法令はまだまだ多い。よく見かける違反行為をいくつかご紹介しよう。
文:吉川賢一
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睡眠不足や過労、薬を服用した状態で運転してはならない
先日、東京都内において、救急車が横転する事故が起きた。運転していた救急隊員は、なんと17時間連続で勤務していたということで、「眠気に襲われた」と説明しているという。
救急隊員の勤務状況やその他については本稿で論ずるところではないが、このように、睡眠が明らかに不足していたり、ひどく疲れた状況で運転をすることは、道路交通法に違反する行為。道路交通法第66条第1項では、「何人も、(略)、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」と規定されている。
たとえば、風邪薬には、症状を緩和するために眠気を誘う成分が含まれていることが多いが、これらを服用して運転することは違反。眠気を誘うほか、副作用によって突然めまいやふらつきなどの症状があらわれる場合もあるからだ。普段クルマを運転する人は、薬を服用する場合、薬の効果がどのくらい持続するのかを確認し、クルマを運転する必要のある時間にかかることがないように服用することが必要。
過労や睡眠不足などに関しては基準が難しいところではあるが、少しでも安全で丁寧な運転をする自信がなかったら、クルマを運転するのを控えるようにしてほしい。
追い越しをしようとするクルマがいるときに、速度を上げてはいけない
高速道路の走行車線を走行中、後続車が右側の追い越し車線へ出て、追い越しをしかけた時、「あれ、遅かったかな」と思って速度を上げた、という経験はないだろうか。実はこれ、「追い付かれた車両の義務違反」という立派な違反行為だ。道路交通法第27条第1項において、「車両(略)は、(略)追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。(略)」と規定されている。
これは自車がスピードを上げると、追い越しがいつまでたっても終えらないためだ。このほか、同27条では、自車が法定速度未満で走っている場合、後続車に道を譲らなければならない、ということも定められている。「制限速度さえ守っていれば大丈夫」ではないのだ。
コメント
コメントの使い方国民の義務であるならば、給油をしているドライバーに罰則があると文章では書かれています。消防法はドライバーに対しての法律であると解釈出来ます。それこそ教習所に戻って勉強しなおした方が良いのでは。消防法は店舗側に対しての罰則はある。義務であればドライバーにはどの様な罰則があるのか記事にして頂きたい。
高速道路の部分。第2走行帯は表示がなければ基本的に追越し車線ということも書いて欲しかった。延々だらだら一般道のつもりで走行している車が居る。大型車は高速では80キロまでしか出せないので、追越し車線をゆっくり走られると追い越しできない。
と同時に、大型車の80キロ規制を守っているのは大手のごく一部。大半は100キロ超。
違反者に対して教条主義的に優先意識を持つのも事故の元だけどね。そして優先側も余程じゃないと過失ゼロとは認定されない。