西武の高速バスは長距離昼行の先駆け!! 西武大津線の軌跡が偉大すぎた

西武の高速バスは長距離昼行の先駆け!! 西武大津線の軌跡が偉大すぎた

 西武グループのバスは三本ラインの斬新なデザインが特徴。西武の高速バスは、1985年暮れ新潟線からはじまり、現在に至る。今回は1989年の乗りバスレポート!! 懐かしのコースなどマニアの方必見です。

(記事の内容は、2022年3月現在のものです)
執筆・写真/石川正臣
※2022年3月発売《バスマガジンvol.112》『思い出の長距離バス』より

■静かな午後の琵琶湖を眺めがら池袋へ向かって出発!!

3本ライン、ライオンズカラーとして定着していた西武バス
3本ライン、ライオンズカラーとして定着していた西武バス

●西武大津線(西武バス/相手会社:近江鉄道)
大津プリンスホテル〜浜大津〜近江鉄道八日市営業所〜彦根駅前〜彦根プリンスホテル〜下落合駅〜池袋東口〜サンシャインシティプリンスホテル
乗車日:1989年10月

 当時の夜行3列シート車は高級感をもたらしたが、西武は4列シートで夜行昼行を併せて運行するパターンであった。

 相手会社が運行する近江鉄道の路線バスで高速バス乗り場に到着。乗車場所は琵琶湖湖畔。秋晴れのレイクビューが美しいロケーションの大津プリンスホテル。ここにライオンズデザインの池袋行き西武バスが到着。

 青く広がる琵琶湖に対して青く明るいブレザーの乗務員制服、先ほどの近江鉄道も同じ制服だった。斬新な乗務員の姿で池袋へ出発。乗る人だれもいない車内。秋の行楽シーズンの週末だが乗客は予約した10人のみ。

 発車すると揺れる車内、空いている座席のガタガタ音が響き、空席が多いもの淋しさも感じる。この頃は米原駅をまたいで通過。新幹線の駅だが周りは静かな街だ。

相手会社、近江鉄道。西武グループとして同仕様の西武カラー
相手会社、近江鉄道。西武グループとして同仕様の西武カラー

 停車しているこだま号も空席が目立つが、夕方には東京へ着くのだろう。出発してしばらく後に乗務員のあいさつが始まる。

 車内設備の案内はリクライニングシートや化粧室は当たり前として、公衆電話も設置してあるが、外部からの取次はしないとのこと。

 かつては週末で遅延することの対策として、迎えの家族のために車載電話の番号を乗務員から乗客へ教えるサービスがあった。現在は携帯電話があるので不要だが、これは記憶に残るサービスだ。

 そして交代乗務員がお茶とおしぼりを手渡すサービス。これは西武の昼行便では定番だった。

■東名高速は早々にパスして中央高速ルートで池袋へ!!

近江鉄道の路線バスも西武カラーに
近江鉄道の路線バスも西武カラーに

 高速へ入り名神高速から東名へ。しかしそのまま東京方面へは行かず、中央高速へ入る。東名の混雑を考えての中央道道経由。いや池袋へは中央道の方がいいのかな、とも思う。関越道、北陸道では西武の高速バスはおなじみだが、中央高速では少し印象が違う。

 なじみの京王、名鉄、長野県の各社に交じって堂々と走る。養老、恵那峡、そして3回目最後の休憩、双葉サービスエリアまで順調だがその先から渋滞が始まり、池袋には遅れての到着となった。

 昼行便廃止後は需要の多い夜行便を増便して、長距離昼行便の利用率は夜行に比べて決して多くはなく、特に大津便は少なく1992年6月に昼行便はとりやめ、夜行のみとなった。

 首都圏への需要は少なくないことを考えて、近江鉄道では横浜経由の品川便と池袋経由の大宮便の2便体制となった。しかし夜行便の盛況ぶりは他社も参入し、乗車場所を追加するなど利便性を図ったが、今では夜行便も運行をとりやめ、思い出の路線となった。

【画像ギャラリー】午後の琵琶湖を眺めがら池袋へ!! 名神、東名、中央高速を走る高速バス西武大津線を振り返る(10枚)画像ギャラリー

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