ホンダがバイク向け「電子式クラッチ」の商標を出願中だ。レバー操作が圧倒的に軽くなる上に、クラッチレバー操作を伴う手動変速とオートマに切り替えられるのがメリット。本誌予想では、第1弾モデルが2024年春にも登場する!?
文/ベストカー編集部、写真/ホンダ
【画像ギャラリー】電子クラッチの外見はこんなカンジ? DCT搭載車も見る(10枚)画像ギャラリー「ホンダE-クラッチ」の特許が公開
スクーターを除いて、バイクの変速機構はクラッチレバーとシフトペダルを使うマニュアル式が一般的。握りを軽くするアシスト機構付きのクラッチも増えてきたが、特に半クラッチを多用する渋滞ではレバーを握るのがツラいケースもある。
そんな中、ホンダが「電子式クラッチ」を導入する模様。2022年11月2日に「Honda Pro Clutch」、2023年1月18日に「Honda E-Clutch」という商標を日本で出願したほか、2021~2022年に大量の電子クラッチに関する特許を出願している。
本誌がつかんだ情報によると、名称は「Honda E-Clutch」で、2023年秋のショーに搭載モデル第1弾が発表されるようだ(詳細は後述)。
現在バイクのクラッチは、クラッチレバーからの入力をワイヤーか油圧で機械的に伝達しているが、こうした入力を電気信号とするのが電子クラッチ。
スロットルも近年までクラッチと同様にワイヤーで機械的に入力していた。しかし現在ではスロットルグリップのセンサーが入力を感知し、ワイヤ(電線)を通して電気信号でスロットルボディを操作する“スロットルバイワイヤ”が増加中。電子クラッチも同様の機構で、“クラッチバイワイヤ”と言い換えられる。
DCTと似ているが、レバー操作が可能
この電子クラッチはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)とかなり似ている。
ホンダは2010年のVFR1200Fを皮切りにDCTをバイクに採用し、採用車種を拡大してきた。DCTはオートマモードとマニュアルモードを搭載。クラッチレバーは備えないが、ボタンやペダルでの変速も可能だ。
数々の特許を見ると、電子クラッチはクラッチレバーとシフトペダルを備えるが、使い勝手としてはDCTに近い。
特許によると電子クラッチは「自動制御を行うオートモードM1」「ライダー手動操作を行うマニュアルモードM2」「一時的な手動操作を行うマニュアル介入モードM3」という3種類の制御モードを装備。
オートモードM1は、多彩なセンサーによってクラッチ容量をコントロールし、スロットル操作だけでエンストすることなく発進可能。レバー不要で、シフト操作のみで変速でき、アイドリング相当の極低速時には自動でクラッチが切断される。
オートモードM1では、クラッチレバーを握ることで自動的にマニュアル介入モードM3となり、クラッチを任意に切ることも可能。マニュアル操作も受け付けるが、クラッチレバーを完全にリリースするとオートモードM1に戻る。
完全マニュアルのモードM2では極低速時でもクラッチが切れずに走行できる。レバー操作によってはエンストすることがあり、スロットル操作のみでの自動発進も不可。クラッチ制御の自動アシストは行うものの、従来のクラッチ操作とほぼ同じと言えるだろう。
なおオートとマニュアルモードは、停車中にモード切替スイッチを操作することで変更できる。
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