アレック・イシゴニスによるADO15の初代ミニ(クラシックミニ)が誕生してから、今年で生産60周年を迎え、BMWブランドのニューミニが誕生してから18年が経つ。
初代以来、日本でも根強い人気で、2018年のモデル別輸入車販売台数においてナンバー1を獲得している。
今回は、クラシックミニ以外、2001年~2006年の第一世代、2006年~2013年の第二世代、そして2013年以降の現行第三世代における、歴代最高のニューミニは何か、考察していこう。
文/御堀直嗣、小沢コージ
写真/ベストカー編集部、BMW
初出/ベストカー2019年3月26日号
■初代クラシックミニは歴史的名車
TEXT/御堀直嗣
1959年に、英国で誕生したBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)のミニは、その姿から新時代を切り拓く存在に見えた。そして、オスマン帝国(現在のトルコ)生まれのアレック・イシゴニスによって、斬新な案が散りばめられている。
イシゴニスに与えられた命題は、第二次世界大戦後の英国でガソリン配給制が復活しても堪え、かつ、すぐ生産開始できる小型車開発だった。
イシゴニスがまず思い描いたのは、全長3m、全幅と全高が1.2mの箱だ。その中に、大人4人が乗れる空間を確保する。もちろん、荷室とエンジンルームもいる。この寸法は、現在の軽自動車規格より小さい。
エンジンは、BMCにあった850㏄の直列4気筒を使いながら、横置きとし、変速機をエンジン下に配置することで、駆動系の寸法を切り詰めた。後輪駆動用だったエンジンと変速機を上下に配置し、横置きの前輪駆動とすることにより、駆動系の寸法をほぼ半分に縮めている。
サスペンションは、イシゴニスが永年こだわった4輪独立式とし、ゴム製のバネを使って空間の制約を守った。これにより、乗車人数によって車高が変化するのを抑え、なおかつ乗り心地を満たした。
しかし発売してみると、一般消費者の反応は鈍く、逆に、富裕層が絶賛したことで勢いを得た。
また、レースを得意とした町工場を率いるジョン・クーパーが、友人であるイシゴニスの開発したミニを愛用し、強化したミニ・クーパーが、1961年に誕生した。
F1王座を獲得する実力のクーパーが手を加えたミニ・クーパーは、ガソリン配給にも堪え得る小型車として開発されたミニに、大きな箔をつけた。
合理的でありつつ、しかも本物志向の開発が、ミニを世界に知らしめ、多くの愛好家を増やしていった。歴代最高のミニと評されるのも当然といえるだろう。
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