老舗サスペンションメーカーのテインが鄭州日産汽車「パラディン」の特別仕様車に標準装着されることに。このモデルがこのまま日本で発売されることは叶わなそうだが、そのデキたるやさすが!! のひと言。マジでいいのよコレ!!!!!!!
文:加茂 新/写真:加茂 新、テイン
■小さな工場から世界へ
純正のサスペンションは昔で言えばトキコなどがよく知られたところ。現在だとKYBやアステモなどが製造している。そういった純正メーカー系サプライヤーの他に、コニとかモンローなど競技でも活躍しているメーカーが製造していることもある。
テインは日本生まれの完全なるアフターパーツメーカー。ラリードライバーの藤本吉郎氏とコ・ドライバーだった市野 諮氏が「もっと良いサスペンションを作ろう」という決意のもとに立ち上げたメーカーだ。
当時のサスペンションというと、ラリーで山を走り回るとあっという間にオイル漏れでダラダラになってしまうとか、ときにはダンパーが突き抜けてしまうこともあったという。
そこでふたりで7坪の小さな工場から始めたのがテインなのだ。1985年に創業し、小さな工場での手作業でのサスペンション製作からコツコツと始めた。並行してラリードライバーとして活動していた藤本氏は、創業から10年後の1995年。都筑区に会社を移転し大きくなっていくタイミングで、トヨタ・セリカでサファリラリーに参戦し優勝。
サファリラリーで優勝した日本人は現在のところ藤本氏のみ。ちなみに今年のサファリラリーはWRCの1戦として行なわれ勝田貴元選手が2位に入賞しているが、現在のところ勝った日本人は藤本氏のみなのだ。
■唯一無二のサスペンションメーカーだ‼
競技向けサスペンションと同時にチューニングカー向けのサスペンションで徐々にマーケットを拡大。サスペンション専業メーカーとして知られるようになった。
そして、現在は横浜と中国に工場を構える。中国工場では複筒式モデルの製造と、単筒式モデルの部品製作をメインに行い、国内工場では単筒式モデルの製造をメインに組み立ても行っている。
そんなテインが中国の自動車メーカーの特別仕様車に純正採用されたというのが大きなニュースなのだ。アフターパーツのサスペンションメーカーとしては随一の存在であるテインだが、自動車メーカーに純正採用されるのは今回が初となる。
現在中国ではいくつかの自動車メーカーがある状態だが、今回採用されたのは鄭州日産汽車(ていしゅうにっさん)。東風汽車と日産自動車の合弁会社で、日産の技術を活用したクルマを製造している。言い方は悪いが、謎の中国メーカーではなく、日産の技術やスタッフが投入されためちゃくちゃちゃんとした自動車メーカーに採用されたのだ。
今回はその人気SUVの「パラディン」の20周年記念特別仕様車(200台限定)に、テインの単筒式別タンク付き減衰力伸縮別調整車高調「4✕4 DAMPER GRAVEL2」が採用された。
パラディンはD22型ダットサントラックをベースにしたものが初代となるSUV。そちらは約10年前に製造が終了し、「テラ」に移行していたが2023年に「パラディン」が復活して登場した。中国車としては初めてパリ・ダカールラリーを完走したことから、本格オフローダーとして根強い人気を持つモデルなのだ。
中国は高速道路も整備されていて市街地はもちろん舗装化されているが、ちょっと郊外に行ったりすると未だに泥道などの悪路が普通。見た目にかっこいいSUVやRVではなく、きちんと4WDとしての性能が要求されている。
そこで特別仕様車にはより性能の良いサスペンションを採用することで、乗り心地や走破性を高めようという狙いがあったのだ。
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