車高ダウンに足回りも専用!!　ヤリスクロス＆アクアのGRスポーツは本気の仕上がりだった

　コンパクトカーとして人気のトヨタ アクアと、コンパクトな車体にSUVテイストを盛り込んだトヨタ ヤリスクロス。一部改良に合わせてGRスポーツが追加!!　ノーマルよりも気持ちのいい走りを求める大人にぴったりの2台をご紹介！

※本稿は2023年4月のものです
文／松田秀士、写真／TOYOTA、ベストカー編集部、撮影／平野学
初出：『ベストカー』2023年5月10日号

■アクアGRスポーツ/ヤリスクロスGRスポーツのここがポイント

・GRスポーツ専用チューニングのサスペンションに、GRヤリスのブッシュ流用で走りのしっかり感と旋回性を向上
・専用ボディ剛性パーツ（トンネルブレース、ロアバックブレース）で剛性向上
・ワイド＆ローの低重心スタンスのエクステリアとスポーティなインテリア

■落ち着きのある乗り味となったアクアGRスポーツ

　サーキットなど限界域でも意のままに操れるハンドリングを目指したGRを頂点として、ワインディングや高速道路ではスポーティで楽しい走りを、市街地ではより安心してナチュラルな乗り味を追求したGRスポーツブランドのアクアとヤリスクロスが発表された。

　まずはアクアGRスポーツ。ベース車両に対してオーバーハングがフロント＋20mm/リア＋25mm延長されたことで全長が4095mmとなっている。ちなみに車高ダウンは5mmだ。

　走り始めるとベース車のZグレードに比べてサスペンションは固められていて、それを受け止めるボディのしっかり感も同時に感じる。実はフロア下トンネル部に2カ所のブレースと、リアバンパーリインフォースと呼ばれる左右のリアクロスメンバーを繋ぐボディ補強が追加されている。

　これによって落ち着きのある乗り味に進化。というと乗り心地が気になるところだが、スムーズな乗り心地のZグレードに対して、スプリングはF：15％/R：10％アップ、スタビは6.5％アップされていて、それに見合うショックアブソーバーの減衰力アップも行われている。

■ハンドリングが好印象のヤリスクロスGRスポーツ

　しかし、乗り心地はこれらのアップした数値を上回る印象で、逆にサスペンションのストローク量が減少したことによる上下動の少なさと、専用シートのクッション性のよさがしっかりフォローしていて、なかなかご機嫌。

　そのサスペンションにはフロントロアアームブッシュにGRヤリスのものを流用し、リアサスに締結性を上げる目的で溝付きワッシャーボルトを採用している。

　この手のモデルに乗る時、個人的に気になるのがロールを抑制するバンプストップラバーだが、やはり専用チューニングに変更されている。

　これがステアリングを切り始めた初期に適度な弱さでスッとロールを起こし、すぐに強さを増しプログレッシブにロールを抑制する。

　この味付けがよく決まっていて、コーナー進入時のアクセルオフではバイポーラ電池を採用するアクアは0.1Gの回生ブレーキを行うが、この時のノーズダイブがスムーズに行えて、続けてのブレーキングでステアリングにしっかり感を感じさせてくれる。

　またドライブモードをパワー＋モードにすればGRスポーツ専用チューニングのステア特性となり、よりステアリングのダイレクト感が増す。アクアGRスポーツは走り屋だけでなく、より間口の広いスポーツモデルといえる。

　アクアとプラットフォームを共用するヤリスクロスGR スポーツもほぼ同じ手法でのチューニングが行われていて、車高ダウンは10mm。ベース車両よりも剛性感のあるしっかりとしたハンドリングが好印象だった。

●アクアGRスポーツ 主要諸元
・全長：4095mm
・全幅：1695mm
・全高：1485mm
・ホイールベース：2600mm
・車両重量：1150kg
・エンジン：直3DOHC
・総排気量：1490cc
・エンジン出力：91ps/12.2kgm
・モーター出力：80ps/14.4kgm
・トランスミッション：電気式無段変速機
・WLTCモード燃費：29.3km/L
・価格：275万円

●ヤリスクロスGRスポーツ 主要諸元
・全長：4185mm
・全幅：1765mm
・全高：1580mm
・ホイールベース：2560mm
・車両重量：1180kg
・エンジン：直3DOHC
・総排気量：1490cc
・エンジン出力：91ps/12.2kgm
・モーター出力：80ps/14.4kgm
・トランスミッション：電気式無段変速機
・WLTCモード燃費：25.0km/L
・価格：259万5000円