電動化とはもっとも縁遠いとも思えるようなクルマがまさかの発表を行った。超軽量スポーツカーの横綱であるケーターハム セブンがEVのプロトタイプを発表したのだ。電気自動車になってもライトウェイトへのこだわりは貫かれているのだろうか? 詳細をお伝えしよう!
文/ベストカーWeb編集部、写真/ケーターハム カーズ、ロータス カーズ
■60年以上続くライトウェイトスポーツの神様
まずはケーターハム セブンについてざっとおさらいしておこう。
同車の原型は、1957年に英国ロータスが発売した「セブン」だ。このクルマは手軽にサーキット走行が楽しめるキットカーとして市販されたのだが、創業者コーリン・チャップマンの優れた基本設計と、改造も容易なシンプルな作りが受けて、クルマ好きから支持を集めた。
ところがほとんど手作りという生産体制と、収益源と見込んでいた米国輸出が叶わなかったことからセブンは経営を圧迫する存在となり、1973年、ロータスはその製造販売権を代理店だったケーターハム社に譲渡した。これがケーターハム セブン誕生の発端だ。
以来ケーターハムは、独自のアイデアを盛り込んだセブンを現在に至るまで作り続けてきた。ちなみに同社は2005年、ロータスに買収されるのだが、その後の2021年に日本のVTホールディング社が全株式を引き取り、現在はVT社の完全子会社となっている。
■ガソリン仕様に対し重量増はわずか70kg!
それでは肝心のEVセブンを見ていこう。ぱっと見の印象は、まごうことなきケーターハム セブン。ただし注意深く観察してみると、エンジン仕様に対して若干車幅が広いことや、サイド排気のエキゾーストパイプがないことに気付くはずだ。
ボディサイズは全長3350mm、全幅1685mm、全高1115mmというから、確かにエンジン仕様(標準シャシーは1575mm)に対して110mm広い。これは筆者の予想だが、ケーターハムが「バッテリーはエンジンベイとセンタートンネルに配置」と説明しているから、その容積確保のために拡幅されたのではなかろうか。
拡幅は当然、トレッド幅や操縦性に影響する。しかし従来のセブンの2名乗車は肩が触れ合うほど窮屈だったから(それが魅力という人もいるが)、キャビン容積改善という点では朗報といえるだろう。
気になる車重はどうか。ケーターハムは電動化にあたり「パッセンジャーを乗せた場合と同等の重量差を超えない車両を開発する」という目標を作ったようだ。
実際のEVセブンの車重は700kg以下と発表されており、「ベンチマークとする現行モデル485に対して70kg増」とのこと。485の公称車重は560kgだから、EVセブンが630kgに収まるのかについては不明だが、市販化に向けた目標値という考えなのかもしれない。
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