トヨタ新型クラウンセダンに、ハイブリッドと燃料電池車(FCEV)が用意される。このモデルの登場で、トヨタによるFCV戦略にどう影響があるのか? さらに、水素エネルギー業界の現状と今後の展開について解説と考察していく。
文/高根英幸、写真/高根英幸、ベストカーWeb編集部
■クラウンFCEVが今秋に登場! FCVモデルの普及へ期待大!!
2023年4月、トヨタから新型クラウンセダンに関する情報が公開された。
それによると、これまでに登場したクラウンクロスオーバーとSUVのクラウンスポーツにはエンジンがフロント横置きで電動4WDだったのに対し、セダンはFRプラットフォームを踏襲するという。
しかもHEVとFCVをパワーユニットとして用意するというのだ。
これはトヨタのFCV戦略の大きな起爆剤になり得ることを意味している。クラウンという不動のブランドと組み合わされることで、FCVが再び盛り上がりを見せる可能性が高まったのだ。
■MIRAIより進化したFCスタックを「クラウン」に搭載か?
MIRAI(特に現行モデル)は、すばらしい乗り味と先進性を備えたFCVだ。
けれども、その先進性をアピールするがあまり、スタイリングなどで乗り手を選んでしまうという側面もあった。
例えば落ち着いた高級セダンに乗りたい層は敬遠してしまうケースがあったはずだ。しかしクラウンセダンともなれば話は別だ。
新型クラウンセダンだって(発表されているプロトタイプを見れば)かなり攻めてるデザインじゃないか、と思う方もいるだろう。だが「クラウン」なのだ。
カムリが年内に生産終了予定となった今、保守的なセダンはほとんど存在しない。だから、新型クラウンセダンを選ぶことになるのである。
おそらくMIRAIのFCスタックやプラットフォームをそのまま使いクラウンのボディを被せるだけでなく、さらに効率化を進め進化したFCVとして登場するだろう。
つまりクラウンセダンFCVは、MIRAIより使い勝手が良く、リーズナブルなFCVとなる可能性が高い。これによって公用車などにはFCVの採用が進むことになると予想できる(※1)
そんなトヨタのFCV戦略の攻勢ぶりは、もう少し前から感じ始めていた。それは2023年3月に開催された展示会、H2&FC EXPOでのことだ。
※1 MIRAIはプラットフォームをレクサスLSと共用している以外は、専用部品ばかりなのでコストが高い。
しかし、クラウンFCVはFCモジュールやモーター、タンクなどFC関連部品以外は、クラウンセダンのパーツを利用するのでスケールメリットがあり、車体の生産コストは安くできる。これもリーズナブルになる根拠と言えるだろう。
コメント
コメントの使い方というかMIRAIが800万円で市販されているというのが燃料電池車として驚異的な安さ。
だからこそ追従できない他メーカーが参入できずに居る(したら価格差=総合技術差が明確に判明してしまう)わけで、MIRAI以下でクラウン出したら他の参入を更に遅らせてしまう悪手