■トヨタが燃料電池の仕組みをまるごと公開!! そんなことできるの!??
これまでも北米で大型FCトラックの実証実験をしたり、国内でも物流拠点に水素ステーションを設置して定期便の大型トラックをFCV化する実証実験を行なってきた。
そして次のステップとしてFCモジュールを外販するようになったのもここ1、2年のことだ。
前述の2023年3月の発表と、同時期に開催されたH2&FC EXPOでのトヨタブースの充実ぶりは、ちょっとこれまでのトヨタの展示会での見せ方とは次元が違う印象だった。
トヨタは開発中を含めて、全部で4タイプのFCモジュールを展示し、それと組み合わせて使用できる水素貯蔵モジュールも公開した。
しかもFCモジュールの内部で電気を作るFCスタックと、その心臓部とも言えるセルまで公開し、燃料電池の仕組みをほぼオープンなものとしたのだ。
これはそれだけトヨタの燃料電池が完成度高く、なかなか真似できないという自信の表れでもある。
■中国や米国系企業も出展!! 筆者が驚いた水素エネルギー業界の盛況ぶりとは
中国やドイツ、米国などのベンチャー企業もFCモジュールを展示していた。これまでのFC EXPOではなかった盛況ぶりに、ちょっと驚いたほどだ。
5、6年前までのFC EXPOは、韓国やイタリアなどの燃料電池や水素関連部品のメーカーの製品を日本の商社が輸入して販売するような状況で、とても小規模で特殊な市場となっていた。
当時ほとんどの利用は、工場内で副生水素を利用して発電などに利用している程度であったから、それも仕方ないことだったのかもしれない。
しかし「トヨタは自社製品のために開発させた部品を外部に販売しないため、閉鎖的な市場になってしまっている」と当時の商社関係者は語った。
3年ほど前のFC EXPOでも別の水素ベンチャーに同じ質問をした。
そのときには、そのベンチャーを含めていくつかの商社やメーカーが、燃料電池関連の部品を出展していたので改善されているかに思えたのだが、
「状況はそんなに変わっていない」という返答だったのを記憶している。
「それからわずか3年で、ここまで変わるか」というのが、2023年のH2&FC EXPOだったのだ。
■ホンダもFCモジュールを展示!! 一気に水素の世界が広がった?
ホンダは、2023年発表したFCモジュールを展示した。これは乗用車用の燃料電池スタックを使っているため、出力が80kwとトヨタと同じく中規模なモジュール。
EVの急速充電など発電用として考えるならやや物足りないと思えるスペックだ。
これについてはホンダの説明員は「開発中の乗用車用をベースとしているため、仕様は乗用車用に合わせている」と教えてくれた。
つまり、FCスタックなどをFCVと共通とすることで開発のスピードを高めているほか、コストダウンも狙える。
もちろんFCモジュールはサイズや出力、価格だけが選ばれるための要素ではない。信頼性や耐久性も実際の稼働を考えれば大事だ。
その点、トヨタは大型2サイズのFCモジュールに関しては、トラック用を想定して高耐久仕様も用意する計画だ。
そのほか、H2&FC EXPOでは、国内で高圧水素ボンベを生産することに挑戦するベンチャーが出展したり、トラックのディーゼルエンジンを水素エンジン化する開発を進めているベンチャーも登場した。
何だか一気に水素利用の世界が広がったような印象を受けたほど、勢いを感じたのだ。
コメント
コメントの使い方というかMIRAIが800万円で市販されているというのが燃料電池車として驚異的な安さ。
だからこそ追従できない他メーカーが参入できずに居る(したら価格差=総合技術差が明確に判明してしまう)わけで、MIRAI以下でクラウン出したら他の参入を更に遅らせてしまう悪手