クラウンセダンにFCEV追加で水素普及なるか!? もしやミライよりお手頃価格かも

■クラウンFCVによって水素社会実現を加速せよ

24時間耐久レースの開催場所である富士スピードウェイにて展示された新型クラウンセダン
24時間耐久レースの開催場所である富士スピードウェイにて展示された新型クラウンセダン

 話をクラウンFCVに戻すと、地方自治体が公用車にクラウンFCVを導入すれば、水素ステーションをその近隣に建設する計画も増えることになる(ハズ)。

 だが補助金で建設しても、利用者が少なければ売り上げが上がらず、赤字でメンテナンス費用が掛かる時期が到来したら、予算が下りずにステーションが廃止されてしまう可能性がある。

 EVの充電ステーションがまさに今、そんな状況だ。10年前に開設した充電スタンドが老朽化し、交換や修理の費用が捻出できずに廃止されるケースが続出している。

 幸い、最近まで減少傾向にあった充電ステーションだが、ここ数カ月で盛り返し、増加に転じている。

 FCVを本気で普及させようというのなら、水素ステーションも採算を度外視して建設して増やす必要があるのだ。

 こういった次世代のモビリティを普及させる時の課題として、インフラが先か車両販売が先かという、いわゆる「鶏が先か卵が先か」といった論争がよく起こるが、FCVやEVを普及させるのであれば、まずインフラ整備が先だろう。

■日本企業が培った水素利用の強みを生かすチャンスが来た!  

日本のベンチャー企業「i-labo」がディーゼルエンジンを水素エンジン化するプロジェクトを発表。現在、テストベンチでエンジンを回している。これから車体での実験が開始されるという
日本のベンチャー企業「i-labo」がディーゼルエンジンを水素エンジン化するプロジェクトを発表。現在、テストベンチでエンジンを回している。これから車体での実験が開始されるという

 2023年1月にも水素普及における問題点を記事化したが、それからわずか2カ月後の展示会では水素関連のビジネスがここまで活発化していたことに驚かされた。であれば、次にやることは水素の生産と供給を早急に脱炭素化することだ。

 再生可能エネルギーで水を電気分解して水素を作り出すのは、再び水素と酸素を反応させて電気を取り出す効率を考えると、相当に再生可能エネルギーが安く豊富にならなければ実現できない。

 それよりもオーストラリアの褐炭利用水素だけでなく、現在の天然ガスから水素を取り出す際に発生するCO2を、CO2分離膜やDAC(ダイレクトエアキャプチャー=大気から直接CO2を回収する技術)を使う。

 それを回収し、炭酸飲料や合成燃料、野菜工場や微細藻類の培養に利用するなどの活用をすることで実質的な脱炭素社会を構築していくことだ。

 水素は金属のほとんどを透過し、脆化(強度を低下させる)させてしまう特性がある。

 しかし水素に対する耐性と密閉性を高めた特殊な合金もある。そうした金属やケミカルのノウハウ、水素ステーションで使われるディスペンサー(充填機のノズル部分)の構造など、日本は世界でも屈指の水素関連技術を有する。

 そうした日本企業がこれまで培った水素利用の強みを活かすのは今しかない。

 100年に1度の大転換期であるクルマの脱炭素、中国や欧州が仕掛けてきたEVシフトへ対抗するために本当に水素を活用しようと思うなら、これまでとは比べものにならない開発スピード、導入決定への決断スピードが求められる。

 やりかた次第で、日本の水素産業は一気に発展する可能性もあるのだ。

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