最長・最高・最短etc……それらを決める物差しは種々考えられるが、1本のトンネルの中を、距離的に最も長く走る乗合バスはどれだろうか。
文・写真:中山修一
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■取っ掛かりはトンネルの長さから
まずは日本国内で開通しているトンネルの長さを調べ、該当する区間にバスが通っているかをチェックすれば、自然な流れでトンネル日本一のバスが割り出せるはずだ。
日本最長のトンネルは、青森県と北海道を海底で繋いだ「青函トンネル」だ。全長53.85kmにも及び、2016年までは日本のみならず世界最長のトンネルの座に就いていた。
ここをバスが通っていれば早々に調査終了で至って簡単あるが、青函トンネルは最初から鉄道専用に作られているため、残念ながらノーカウントだ。
ちなみに、1988〜97年まで本州〜北海道間をマイカーごと移動する「カートレイン北海道」という夜行列車が運行しており、積荷の形でなら青函トンネルを自動車が通ったことはある。
■高速道路のトンネルの星はあの有名なバスだった!?
素直に対象を自動車が走る道路トンネルに絞ろう。国土交通省の2020年現在のデータによれば、日本には合計10,912カ所のトンネルがあるとされる。それを踏まえて、高速道路のトンネル延長ランキングから確かめてみよう。
★【1】山手トンネル(東京都)18,597m 首都高中央環状線
【2】関越トンネル(群馬・新潟県)11,055m 関越自動車道
【3】飛騨トンネル(岐阜県)10,712m 東海北陸自動車道
ダントツに長いのは、2015年に全線開通した東京都・首都高の山手トンネルだ。だとすれば山手トンネル経由のバスを探せば、それが日本一と考えられる。しかしここで注意したいのが、山手トンネルには途中に出口があることだ。
定期的に運行している乗合バスでは、新宿と羽田空港を結ぶ東京空港交通のリムジンバスが挙げられる。このバスの山手トンネルの区間がどこからどこまでなのか……リサーチの結果、大井ジャンクション〜初台南までを走行する実例が確認できた。
同区間を距離に直すと11.2km相当になる。延長第2位の関越トンネルを四捨五入すると11.1kmなので、この時点で東京空港交通リムジンバスが、日本最長のトンネル区間を走る乗合バス、ということになるようだ。