現在の国産ラインナップで貴重なセダンカテゴリーの1台として残っているスバルの現行型WRX S4だが、先代モデルに乗っている担当がなぜ買い換えないのか、思いつく理由について述べてみた。
文:ベストカーWeb編集部・渡邊龍生/写真:スバル、ベストカーWeb編集部
■5代目レガシィ2.0GT DIT譲りのパワフルユニットを搭載!
すでに新車で購入してから8年目を経過した筆者のいわゆるアプライドB、2015年式先代WRX S4。グレードは当時の最上級だった「2.0GT-Sアイサイト」だ。当時の新車価格は356万4000円。今その値段を聞くと、ミョーに安く感じられるから不思議なもの。
先代WRX S4のパワートレーンは直噴の2L4気筒水平対向FA20ターボ。最高出力300ps/最大トルク40.8kgmを発生する強力なユニットだ。
このエンジンが最初に積まれたのは、5代目レガシィが2012年5月にマイチェンを実施した時。「2.0GT DIT」グレードに搭載されたのだが、当時の5代目レガシィの2.5Lターボ(最高出力285ps/最大トルク35.7kgm)を上回る前述のスペックを誇っていた。
当時、撮影で5代目レガシィB4の2.0GT DITに試乗したことがあったが、正直そのパワフルさに舌を巻いたものだった。この時の印象が強烈に脳裏に刻み込まれていたことから先代WRX S4を購入することを密かに決意。
■現行型S4も進化していることは乗ると実感できる……が
2LターボでありながらFA20ターボは下のトルクもまったく問題なく、しかも上の回転は現在のWRX S4が積む2.4Lターボ(最高出力275ps/最大トルク38.2kgm)を確実に上回るパンチ力を持つ。
専門家からはややピーキーな特性だとも言われるFA20ターボだが、個人的には乗っていてそのような感じを受けたことはない。ラバーバンドフィールの感触が取り沙汰されるCVTのリニアトロニックだけど、これも街乗りではほとんどネガを感じたことがない。
これはたぶんサーキットでの走行などを想定すると、物足りなさやオイルクーラーの必要性なども出てくると思うのだが、あくまで自分のようにメインが街乗りユースでは問題がない。
現行型WRX S4に乗ると、スバルの謳う「スペックでは現れない部分での走りの性能進化が実感できる」ということが確かにわかるのだが、何かこう自分の乗る先代モデルと比較してしまうとイマイチ面白味に欠けるのだ。
スタイリングやデザインは個人の好みと主観によるものだけど、スポーツセダンらしい端正さはSUVのようなクラッディングを前後フェンダーに装着し、リアディフューザーを後方にせり立たせたアグレッシブな現行型よりも先代型のほうが端正で自分好み。
■価格面からも先代からプラス150万円はちょっと厳しい?
それと価格的な面もある。現行型のSTI Sport R EXは502万7000円。日本車全体の価格が10年前よりも値上がりしている現状を思うと、コストパフォーマンスで見れば絶対的な価格は高くはないのかもしれない。
もちろん、現行型はスバルグローバルプラットフォーム+フルインナーフレーム構造を採用し、先進安全装備などADAS系も相応に進化しているのはわかる。そのうえ、ACCの設定上限速度も先代C型までは114km/hまでだが(D型からようやく135km/hに)、現行型はもちろん135km/h。
しかし、特に前期型はトップグレードが350万円台で購入できた先代WRX S4に比べるとプラス約150万円となる現行型は積極的に購入しようという決め手に欠ける気がするのだ。どう考えてもコストパフォーマンス的には先代モデルに軍配が上がる。
新車で購入してから8年を経過しても実は走行距離4万4000kmちょっと。10月に4度目の車検を迎えるのだが、正直次の愛車として狙いたいような車種が浮上してこない。そう、まるで4代目レガシィB4の2.0GTユーザーがモデルチェンジ後もしばらく「乗り替え難民」として彷徨っていたかのように……。
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