2019年はGT-Rの50周年の年でもあり、日産としてもかつてのヘリテージへの熱が高まっている。
しかしGT-Rとは対照的に影を潜めているのがスカイラインだ。日本きってのグランドツーリングを標榜していた名門セダンはすっかり地味な存在になっている。
その原因はあからさまな北米偏重のクルマ作りにあるだろう。「クルマはよくてもスカイランではない」。そんな受け止め方をする消費者が多いようだ。
しかし、ここにきて「日本のためのスカイライン」が復活への狼煙をあげたという情報が入ってきた。
最新情報をお届けしよう。
文・予想CG:ベストカー編集部/写真:NISSAN,INFINITI
ベストカー2019年5月10日号
■日本市場軽視と言われても致し方ない日産の新車攻勢
日産は日本市場を軽視している。
確かにここ最近のニューモデル投入の流れを見ても、そのように感じてしまうのはしかたないだろう。
たしかに2019年3月28日に久しぶりに純然たるニューモデルとして2代目となるデイズを投入した。
しかしこれは2017年9月のリーフ以来、1年半ぶりのニューモデル投入なのだから。
もちろん、この間にセレナe-POWERやNISMOモデル、リーフe+などの『新型車』を投入はしているが、あくまでも既存車種への追加モデル。純然たるニューモデルではない。
さらに言えば、フーガ、スカイライン、ティアナなどのミッドサイズ以上の4ドアセダンについては寂しいところ。
小改良などはあるものの、商品力を大幅に引き上げるようなマイナーチェンジすら実施されない。いずれもモデル登場から時間が経過し、古さを隠せなくなっている。
本来は販売の主力となるべきコンパクトカーのマーチやキューブもデビューから8〜10年とデビューから時間が経過しており、相対的に魅力度は低下している。
「もちろん日本市場は重要と考えています。これからどんどんニューモデルを投入していく計画はあります。
今年……かどうかは言えませんが、数年のうちに複数車種を投入します。
日本市場にマッチしたクルマを投入し、そのカテゴリーで”一番だね”と言われるようなクルマを丁寧に開発していくことが大切だと考えています」と、星野朝子専務執行役員は言う。
さらに「ノートが昨年暦年で販売1位となりました。日産にとって暦年販売1位というのは初めてのこと。
セレナもミニバンでの販売で1位ということで、しっかりと評価していただいていると考えております。
各セグメントで日本のお客様を見つめてしっかり作れば、結果はついてくるということです。一つひとつ丁寧にやっていくということです」と続ける。
■新体制でニューモデル投入計画にも動きが
圧倒的な権力を背景に日産をはじめとするアライアンスを牛耳ってきたC・ゴーン前会長が失脚した。
そうなればやはり日産自動車、ルノー、三菱自動車の3社アライアンスの在り方にも大きな動きが生じることになる。
もちろん、直ちに目に見える変化が生じるということではないが、企画開発の現場でも、これまでとは違った空気が流れ始めているという。
「現場レベルで企画アイデアとして挙げられたまま凍結されていたような商品企画が改めて見直されるような動きがある」と、企画開発の現場に近い関係者は証言する。
ゴーン体制下では、ある種の忖度により上層部に上げられなかった商品企画アイデアが精査され、ビジネス的に可能性があると判断された商品企画が上層部に上げられるようになってきたということだ。
まだまだ商品企画部門の現場レベルでの話、と前置きはあるものの、例えば日本市場にマッチさせたミッドサイズ4ドアセダンの商品企画などが再浮上してきた、というのだ。これまでは完全に停滞していたカテゴリーだ。
企画コンセプトとして掲げられているのは以下の3点。
・使いやすい全幅1800mm以下のボディサイズの4ドア
・全長4700mm以下としながら、後席の居住性は大人がしっかりと着席でき、ロングドライブでも疲労を感じさせないものとする
・中心グレードが300万円代であること」
これこそ、日産の伝統的名車『スカイライン』を名乗るにふさわしいモデルとは言えまいか。
スカイラインは本来、ジャストサイズの4ドアセダンで、走りのよさが味わえる先進的な技術を盛り込んだ意欲作、というコンセプトであった。
後輪駆動であるとか、直列6気筒であるとか、GT-Rの存在などは、スカイラインが進化をしていくなかで必要上そうなっていったものであり、それがスカイラインの必要条件ではない。
パワートレーンやプラットフォームなど技術的な面での具体的なプランまでは示されてはいないという。
しかし日産は今後のパワートレーン計画で、インフィニティブランドは全車EVやハイブリッドなどの電動化とすることを明らかにしている。
いっぽう、日産ブランドでも2022年までに年間100万台の電動車販売を掲げている。その大きな下支えとなるのがe-POWER搭載車の拡大にある。
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