当初はフロントにモーターを搭載して前輪を駆動していたボルボ XC40のBEV。マイナーチェンジで「後輪駆動」に変更された。ボルボに限らず、VWでもBMWでも、シングルモーター仕様は後輪駆動を採用する。これにはどんな理由があるのだろうか?
※本稿は2023年8月のものです
文/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2023年9月10日号
■ボルボもVWもBMWも!
ボルボXC40のBEV。1モーターモデルは当初フロントにモーターを搭載して前輪を駆動していたが、マイチェンでリアアクスル部にモーターを搭載するRRに変更された。ボルボに限らず、VWのID.4もRRだし、BMWのBEVはシングルモーター仕様はすべてRRを採用する。
■RRを採用する理由
「合理的に考えれば当然だ」と水野和敏氏は一刀両断。
・前輪は操舵するため駆動輪とするには複雑な動きをするユニバーサルジョイントが必要となる。
・最新のモーターは制御ユニットやギアなどと組み合わせたe-Axle化されたことで小型化され、リアデフの位置に置くことができるため、エンジンルームのような大きなスペースを必要としない。
・駆動装置をリアに集約することで、フロントセクションは衝突対応ボディの構成に専念した設計が可能となる。
・前輪の切れ角を大きくすることが可能となり、小回り性がよくなる。
水野氏は「BEVの2駆なら、むしろ前輪を駆動させる意味がわからない」とRRの合理性を説明する。
【画像ギャラリー】2WD電動車の後輪駆動はメリットいっぱい!! RRを採用する2WDのBEV(27枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方EVがすでにオワコンなのでは…😖
水野さんの仰るとおりだ。
電気自動車で前輪苦動にする利点が何も無い。
エンジン動力でFRにする時はプロペラシャフトで貫通させるのが大変だから仕方なくFFにしているに過ぎない。
廻したいタイヤの横にモーターを配置して通電させれば良いだけなのだから完全に自由。
電池とモーターを隣接させる必要も無い。
BEVはFFのスペース効率もバッテリーで台無しにされちゃうので利点生かせないですからね。
しかしただ後輪化しただけでは、急激にトルクの立ち上がるEVでは重さでのトラクションを上回るくらいコーナーや濡れた路面で安定性が下がります。
雪道も苦手になりますし、趣味的な車なら良いものの、様々な人々が乗る普及EVへの後輪駆動採用は、メーカーのFRやMRノウハウを生かした相当にきめ細やかな制御が必須です。
電動車は内燃機関車と比較して高速なトルク応答性を持っていて滑り始めたとき即座に制御できるため、摩擦係数の低い路面でも高い安定性があります。RWDになったID.4も雪上や凍結路を模したコースで内燃機関車と比較したデモを行って性能をアピールしています。