ラリーといえば思い出すのが、インプ、ランエボ、セリカが競ったグループA黄金期。しかし活躍したのはその3車だけではない。ここでは、上記3車以外のグループAベース車両を中古で探してみた!!
※本稿は2023年8月のものです
文/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2023年9月10日号
■微妙にニッチな存在だからこそ愛は深まるのかも?
別ページでは1990年代半ば頃のインプ/ランエボ/セリカGT-FOURという、いわば超メジャーなグループAラリーカーのベース車に関して、中古車概況などを述べた。
しかし当然ながら、グループA時代のWRCで活躍した国産マシンはその3車だけではなく、ほかにもいろいろとある。そして国産車だけでなく、これまた当然ながら輸入車においても「グループAラリーカーとして活躍したマシンの市販バージョン」は、中古車市場において今でも多数販売されている。
下記に挙げたほかにも、例えばBMWの初代M3も、DTM(ドイツツーリングカー選手権)などのレースで活躍しただけでなく、ツール・ド・コルスなどのターマックイベントで、並み居る4WDのワークスマシンを相手に互角以上の戦いを繰り広げたラリーカーだ。
あまりにも有名で王道な「インプ/ランエボ/セリカGT-FOUR」に乗るのも、もちろんステキだ。
しかし微妙にニッチなグループA時代のベース車……例えばスバル ヴィヴィオRX-Rやマツダ ファミリアGT-Xなど……に乗るという行為は、自動車愛好家の密かな楽しみとして、今後はよりいっそう注目されるべきものであると考える。
とはいえもちろん、それらニッチ系は今や中古車を手に入れること自体が、そもそもひと苦労な場合もあり、交換部品の入手が困難になっているケースもあるだろう。しかし困難がデカいからこそ“ステージ”は高いというか、密かな歓びの度合いは、よりいっそう深まるはずなのだ。
●スバル レガシィRS(1989~1993年)
インプレッサ555の前にWRCを闘ったグループAマシンのベース車。ラリーカーは1990年シーズンから投入され、1991年のスウェディッシュラリーで初の表彰台を獲得。以降、1993年シーズンまでコンスタントに結果を残した。
市販バージョンの中古車はほぼ絶滅状態ではあるが、根気よく探せばタマが出ないことはない。
●スバル ヴィヴィオRX-R(1992~1998年)
これのAT車は若き日のマリオ高野(スバリストライター)に衝撃を与えた一台として一部で有名だが、スーパーチャージャー+5MTのRX-Rは1993年のサファリラリーに出場。
コリン・マクレーのドライブにより、トヨタワークスのセリカGT-FOURを上回る総合4位につけたが、惜しくもリタイア。現在も中古車は流通しているが、100万円以上となる場合も多い。
●三菱 ギャランVR-4(1987~1992年)
1987年に登場した6代目ギャランのトップグレード。4G63ターボエンジンは当時、直4史上最強の205psを発生し、その後220ps、240psと進化。WRCには1988年、5年ぶりにワークス体制を組んで臨み、6回の優勝を記録。その市販車の中古車は今も、希少だが流通している。
●日産 パルサーGTI-R(1990~1995年)
4代目パルサーにハイチューン化されたSR20DET型 2L直4ターボエンジンと、ブルーバードSSS-R譲りのフルタイム4WDシステム「アテーサ」を搭載したホットハッチ。
WRCには1991年と1992年シーズンに参戦し、日産が得意とするサファリラリーでは5位に入ったが、その後は残念ながら低迷。とはいえベース車の中古車は今も流通しており、値段もけっこう高い。
●マツダ ファミリアGT-X(1989~1996年)
7代目ファミリアのハッチバックに180psの1.8L直4ターボエンジンと4WDシステムを組み合わせた“スーパーファミリア”。WRCでは小型軽量ハイパワーであることを活かし、1989年と1991年にドライバーズチャンピオンシップを獲得した。とはいえ残念ながら現在、その中古車はほぼ絶滅状態だ。
●ランチア デルタ インテグラーレ(1988~1995年)
日本勢がグループAを制する前の時代に、WRC5連覇を達成した伝説のラリーカー。中古車の中心は、WRCへの出場はなかった「エボルツィオーネII」で、その相場は「応談」ばかりでよくわからないのだが、取材によれば、好条件な個体は約800万~1000万円。
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