レクサスはどうやら、このRCシリーズによって、走りや官能性という、これまで不得意だと思われてきた分野においても、ようやく、プレミアムブランドの仲間入りを果たせたようだ。
「RCでレクサスのイメージを変えたい」。試乗前のプレゼンテーションで、CEの草間栄一氏は、そう力強く宣言した。
そして、一般道、ワインディングロード、そしてオートポリスサーキットにおいて、RCとRC Fを堪能した結果、〝塗装とハイブリッドとアフターサービス〟に加えて、〝走り〟もまた、レクサスは一級品になったということを、確認することができたのだ。
RC350Fスポーツの走りのよさにビックリ!
まずは、ベースモデル、RCの試乗報告から。
一般道とワインディングロードで試したハイブリッドモデルのRC300hのFスポーツには、正直いって、さほど心は動かされなかった。ハイブリッドシステムを積むといっても、40㎏程度の上乗せしかないから、車重というよりもむしろパワートレインの非力さとキャラクターが、ボディの強さが目立つRCにマッチしていないように思えたのだ。
ここまでは、IS300hのクーペ版に留まっている、という印象が拭いきれなかった。
ところが、どうだ。サーキットで駆ったRC350Fスポーツは、存分にスポーツカーになっていた。ISよりも明らかに回頭性がよく、フロントアクスルの手応えも秀逸、そして何より骨太なリアアクスルの反応と安定感、腰を中心に回る感覚が素晴らしい。
ボディの強さが際立っており、アシが本当によく、きれいに、しなやかに動く。安心して、思い切りアクセルペダルを踏んでいけるようなスポーツクーペは、ここ最近の国産車にはなかった。
この操縦感覚は、3シリーズに優るとも劣らない。否、純粋なスポーツ性と、自然吸気エンジンの官能性(サウンドなど)という点では、むしろ、335iを上回った感さえある。
結局のところ、RCはクーペ専用ボディであり、ホイールベースまで3シリーズセダンと共通とする4シリーズとは、そもそも走りに対する考え方が違うと言ってもいいだろう。
そのことを、いっそう強く印象づけられたのが、RC Fだった。IS Fの時とは違い、ベースの開発時から矢口幸彦氏率いるFチームが積極的に関与し、Fスペックの実現を根本的に考え直したという。
逆にいうと、Fチームはベースモデルの基本性能の向上にも大きく寄与しているはず。そう、前述の、サーキットにおけるRC350の好印象は、Fチームの要求に骨格から応じた結果、とも言えよう。ボディの強さなどは、その最たるものだ。
RC Fでは、ベースモデルに前後ブレースなどさらなる補強を入れ、サスペンションパーツも新設計し、高性能パワートレイン搭載に対応している。
そのパワートレインはIS F用を継承するとはいえ、5ℓ、V8NAのエンジンブロック以外はほぼ新設計パーツで占められ、8速ATも進化した。さらには、FR車世界初となるTVD(トルク・ベクタリング・ディファレンシャル)もオプションで設定するなど、電子制御系の進化も著しい。
また、カーボン・エクステリア・パッケージの存在も見逃せない。エンジンフードとルーフパネル、アクティブリアウィングをCFRP製とすることで、およそ10㎏のダイエットを〝車体上部〟で達成したという。
オートポリスでは、ノーマルエクステリアにTVDなしのRC Fと、カーボンパッケージにTVD付きのRC Fの2台を比較試乗することができた。
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