誰しも、ある程度の計算をしながら日々を過ごしている。「●●にはいくら入ってくる」とか「今月はこのぐらい出費しないといけないな」など。
そしてそれはある意味でクルマも同じ。メーカーは「このくらいは売れてくれるはず」という計算のもと、開発を重ね、磨きをかけて新車を市場へと送り出す。
ところが、時には思わぬ相手によってその計算を狂わされることもある。いわゆる「下剋上」と呼ばれるのがそれだ。それは長年のライバルが相手だったりもするし、よりにもよって同じ親元(メーカー)からでてきた弟分や別車種だったりもする。
「アイツさえいなければオレはもっと」「アイツのせいで肩身が狭い、辛い、恥ずかしい…」なんて思いは、多くの人に刻まれているはずだろう。
ということで、今回はそんな、身内やライバルカーからまさかの下剋上を食らってしまったクルマたちの言い分を聞いてみました。
※本稿は2019年5月のものです
構成・文:フォッケウルフ/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年6月10日号
■アルファードに下剋上を食らったトヨタ ヴェルファイアさんの言い分
●トヨタ ヴェルファイア
「アル/ヴェル」と呼ばれるオレたち兄弟は、常に切磋琢磨してきた! そして先代モデルでは、後発だったオレが兄貴をリードした! 下克上ってヤツだ。俺は天下を取ったような気分だったぜ!
ところが現行モデルでは、ド迫力の銀歯をもらった兄貴に、再逆転を食らった。オレもあんな銀歯が欲しいぞ! 銀歯がダメなら牙でもいい。新しい武器をくれ~~!
■C-HRに下剋上を食らったトヨタ プリウスさんの言い分
●トヨタ プリウス
TNGAを得て、走りのレベルがいままでとは段違いになった僕。なのに、顔が悪いとさんざん悪口を言われて、販売トップの座から転落しちゃった。
原因は顔だけじゃない、目の上のタンコブのアイツ、C-HRが僕の客を奪ったんだ! それすら「プリウスの顔が悪いからC-HRが売れてる」なんて言われる始末。冗談じゃないヨ!
ママ~(トヨタ)、僕はまだ顔が悪い? こないだ整形してくれたよね!?
■eKクロスに下剋上を食らってる日産 新型デイズさんの言い分
●日産 デイズ
今回の開発は日産が担当した。つまりオレがご主人様で、三菱のeKはオマケだ。顔を見てもeKクロスは見事なゴリマッチョ顔。どう考えても主役はオレのはずだった。
ところがどうだ。あのゴリマッチョが話題をひっさらい、オレを押しのけて断然目立ってやがる! ゴリラのほうがチヤホヤされるのは間違ってないか? 端正なオレのほうをもっと振り向けっての!
■N-BOXに下剋上を食らったホンダ N-ONEさんの言い分
ホンダNシリーズの正統な後継者は、N360直系デザインを纏うオレだろ!?
モーターショーでも、そりゃ~注目されたもんさ。ところが、フタを開けたら売れゆきはパッとしなかった。そして、N360とは似ても似つかないN-BOXの野郎に、まるで歯が立たない。
ヤツは日本一、オレはその10分の1以下。まるでお荷物だ。そのうちS660にも抜かれるのか? そりゃ耐えられない! どうすりゃいいんだ、クソー!
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