冬真っ最中の今日この頃、人も寒いがクルマも極寒の中で寒さと戦っているのだ。特にエンジン系統では適温を保つのが難しい季節となる。ここで大活躍しているのが、クルマの冷えすぎを予防するグリルシャッターだ。今回はそんなグリルシャッターの働きをみていこう。
文:佐々木亘/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】冬場の燃費を伸ばす立役者?グリルシャッターがエライのよ!!(18枚)画像ギャラリー■プリウスからスタート?エンジン内部の温度調整を司るクルマの中の効率の鬼
グリルシャッターが積極的に採用されるようになったのは、2015年の4代目プリウスの登場以降だ。
仕組みは、冷却のために使われるグリル開口部をシャッター式にして、暖機状態に合わせて自動開閉するというもの。
クルマ自身が熱ければシャッターを開け、寒ければシャッターを閉めているのだ。なんとも頭がいい。
現在ではプリウスをはじめ、クラウン・カローラシリーズなどがトヨタ車もそうだがそれ以外にも、日産セレナe-POWER、スバルのレガシィアウトバックやフォレスターなど、採用実績は多数。
特に暖機運転を苦手とする、HEV車への搭載が目立つ。
■グリルシャッターは冬場の燃費向上の切り札だった
HEV車で燃費を伸ばしづらい冬場。その原因は、車内の暖房がエンジン内部の熱を使ってしまう点にある。
暖房機能を維持するため、クルマはエンジン系統の温度を高く保とうとエンジンを動かす。
これが、温暖な時期よりも暖機(アイドリング)の時間を増やすため、燃費の悪化につながるのだ。
エンジンの温かさが暖房に奪われてしまうのに加えて、冬季は外気がエンジン周辺の熱を大きく奪っていく。せっかくエンジンが動いて熱を作っても、ラジエターが外気にさらされたままでは熱はどんどん逃げていくのだ。
さらに冷たい外気が走行風となってラジエターに当たる。冬のEV走行で、エンジンは想像以上に冷やされているのを知ってほしい。
こうした問題を一気に解決するのがグリルシャッターだ。暖められたエンジン内部の空気を、グリルシャッターを閉めることで外に逃がさない。さらに冷たい外気が直接ラジエターに当たり急冷されるのを防ぐのだ。
グリルシャッターは、エンジンにとって、脱ぎきしやすいダウンベストを着ているようなものだろう。
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