タイヤは、使っていても使っていなくても、時間の経過によって劣化します。そのため、「新品タイヤへ交換した直後がもっとも性能が良い」と思われがちですが、実は最初から、タイヤの持つパフォーマンスを最大限引き出せるわけではありません。タイヤの「皮むき」とよばれる作業についてご紹介しましょう。
文:吉川賢一
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皮むきとは、タイヤのトレッド表面についた離型剤を剥ぐこと
「タイヤの皮むき」とは、新品タイヤのトレッド表面にのっている薬品の膜を剥ぐために、慣らし走行をする行為のこと。タイヤは、金型にゴム素材を入れて焼き固めてつくられますが、このときに金型からタイヤをはがれやすくするため、トレッド表面には離型剤という薬剤が使われています。出来上がったタイヤの表面へ均一に付着していますが、離型剤は滑りをよくするワックスのようなものであるため、そのままの状態だと滑りやすいのです。
そのため、新品タイヤへ交換した直後は、無理な走行はせず、ゆっくりと丁寧に運転をすることが推奨されているのです。離型剤を除去するため、タイヤ表面を洗剤でゴシゴシと洗ったり、紙やすりで削って除去する人もいるようですが、タイヤ表面にのっている薬剤には、長期保管時にタイヤを保護する成分も含まれていますので、お薦めはできません。以下でお薦めするような、慣らし運転をすれば十分だと考えられます。
距離100kmが皮むきの目安
具体的な「皮むき」のやり方としては、タイヤメーカーやタイヤショップでは時速60km/hで100kmの走行距離が推奨されています。タイヤの皮むきが済むまでは、高速道路の走行は避けるようにとするタイヤメーカーもあります。
筆者も自動車メーカー勤務時代に、新品タイヤを使用する車両実験を行う際は、皮むきのために、100km/hの高速巡行走行で1時間走り続ける作業をしていました。急なハンドル操作や急ブレーキなどは避け、あくまで丁寧な運転で100km程度走行することで新品タイヤのゴムをあらわにし、タイヤのパフォーマンスを100パーセント発揮させることができるのです。
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