観光地でのバス輸送はなくてはならない観光客の大事な足だ。伊勢市の神宮で元旦に行われる初詣波動輸送の様子はこれまでにお伝えしたが、通常の土日ではどのような輸送体制になっているのか乗ってみたのでレポートする。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■常に臨時は出ている!
三重交通の元旦の神宮輸送体制はものすごいものがある。路線車はもちろんのこと、貸切車や高速車まで動員してフル稼働する。乗降が多い停留所には乗車券売り場や運賃箱を台車に乗せた「移動改札機」まで登場して、波動輸送を行なうのは既報の通りだ。
何か行事があるわけでもない通常の土日でも観光客は多く、三重交通では臨時バスを随時出している。伊勢市駅から徒歩でも行ける外宮、そして内宮に向かう途中にある猿田彦神社や内宮に隣接するおはらい町は参拝とセットで食べ歩きする重要な観光スポットだ。
記者は伊勢市駅前から通常のダイヤで運行する路線バスに乗車して、外宮から参拝するつもりだ。昔から外宮を先に参拝して後に内宮という順序が慣例ではあるものの、神宮の神職によるとどちらからでも参拝しやすい方からお参りくださいとのことだった。
■運転士の案内放送が光る!
伊勢市駅前から乗車した三重交通の路線バスで次の外宮前に向かう数分の間に、女性運転士から多くの情報を得ることになった。
参拝客の多い午前中は外宮から内宮行きの臨時バスが多く出ているので先に外宮を参拝して、内宮に行き、午後からは内宮から伊勢市駅前に向かう臨時バスが多く出るので、その順序で参拝するとスムーズで交通に困らない旨の案内があった。
この細かな情報は土地勘のない観光客には大変有用で、おそらく女性運転士のオリジナルだと思われるが、観光地の路線バスでは必要で観光客にやさしい案内だ。
やはり地方の路線バスというのは土地勘がないと乗りにくい存在で、乗らなくては行けない観光地であっても、このような案内があると心強いサポートになり、地理感覚がまるで分らない観光客にはありがたい。
■外宮前から次々とバスが!
外宮前では伊勢市駅前から乗車した路線バスが着くバス停にすでに臨時バスが停車していて、無線でバス停に操車兼案内役として張り付いている三重交通の係員に当該車のダイヤと定期便であることを伝え、誘導を受けて停車する。バスロケはあるが、車内と地上との無線を活用してスムーズな案内ができているのだろう。
外宮参拝を終えた記者は、再び外宮前バス停に向かうと「直行 内宮前」のLEDを掲げたいすゞエルガが停車していた。次は猿田彦神社に参拝予定だったので「直行」ではまずいのではないかとバス停の三重交通係員に聞いてみると、猿田彦神社にも臨時停車するので乗ってくださいと案内された。
■臨時便がさらに臨時停車する?
乗車した直行内宮前行きは、猿田彦神社前と神宮会館前に臨時停車する旨が案内され、途中の停留所はすべて飛ばして猿田彦神社前に停車した。同停留所で待っている客はいたようだが、直行バスは臨時扱いのために降車のみで、乗車扱いはしないようだった。
猿田彦神社の参拝後は、市内線のバスを待ち乗車したがやはり休日なので、やってきたエルガミオは満杯だった。それでも内宮前までの乗車時間は渋滞を含めても10分もないため、それほど苦ではない。おはらい町やおかげ横丁に先に行きたい場合は神宮会館前で下車すると、1停留所分を歩いて内宮まで行ける。