SUVの魅力は力強いイメージと優れた使い勝手。でもそこに「走り」の魅力が加われば、まさに無敵といえるだろう。そこで、山野哲也氏が最新注目SUVの走りをチェック!! スポーティな走りができるSUVはどれだ!?
※本稿は2024年2月のものです
文/山野哲也、写真/平野 陽
初出:『ベストカー』2024年3月26日号
■SUVでもスポーツがしたい!!
国内でも人気が急上昇し、魅力的なニューモデルもたくさん登場し、ラインナップが充実したSUV。
SUVというと悪路走破性や高い車高、高いアイポイントを活かした前方視界のよさなどがメリットして挙げられる一方で、キビキビしたスポーティな走りのイメージはちょっと薄い。
でも、スタイリッシュなSUVでちょっとスポーティな走りを楽しみたい!! という声も多くある。
ということで、「SUVでもスポーツしたい!!」をテーマに、山野哲也氏が乗って、走って最新SUVを徹底チェックするのがこの特集。
今回取り上げるのはクラウンスポーツ(ハイブリッド)、CX-60(XDマイルドハイブリッド)、エクストレイル(e-4ORCE)、ZR-V(e:HEV 4WD)、レヴォーグレイバックの5モデルだ。
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ベストカー読者の皆さんこんにちは、山野哲也です。
以前のSUVは運動性能で劣るものが多かったのですが、最低地上高を引き上げながらも重心を低くする工夫や、サスペンションジオメトリーの研究、進化などにより、最近では車高が高いにもかかわらず、スポーティな運動性能を併せ持つモデルが増えています。
その先駆者となったのがポルシェカイエンですが、最近の国産SUVも高い運動性能を持ったスポーティモデルが登場しています。
■スポーティなルックスのクラウンスポーツだが!?
今回の5車、まず目を惹くのはクラウンスポーツ。SUVとしては圧倒的に低い1565mmの全高で、ラウンドしたルーフの4ドアクーペ的なスタイル。全体的にギュッと凝縮したような塊感のあるプロポーションは印象的でクロカン的な雰囲気のエクストレイルとは対照的です。
最低地上高はエクストレイルの185mmに対して160mm。SUVとしてはかなり低いですが、一般的なセダンやクーペが120~130mm程度なので、多少の悪路であれば大丈夫でしょう。
ところが、実際に走らせてそのスポーティ性と完成度に驚いたのは、実はエクストレイルでした。
アクセル操作に対するモータートルクの立ち上がりがドライバーの感覚にマッチしてて気持ちいい。
発進加速だけではなく、コーナリング中のアクセルコントロールに対する反応もレスポンスがよく、前後2つのモーターを最適に制御しているのでしょう。安定した姿勢を維持しながらも、ドライバーの「こう動かしたい」という意思に忠実に反応してくれます。
この背景にはしっかりとした剛性ある車体のよさや、サスペンションのよさなどもあるのですが、車高の高さにもかかわらずロールがしっかりと抑え込まれて、心地よいフットワークを味わえます。
一方クラウンスポーツは走らせると足がソフトで乗り心地がよく、それは高く評価できるのですが、「スポーツSUV」かというと、見た目から受ける印象ほどのスポーティさは感じませんでした。
ステア操作はとても軽いのが高評価です。切り始めから深く切り込んでいくまで、操舵に対する車体の反応がリニア。操舵1ミリ1ミリに対し車体の反応にずれがなく、ドライバーの操作に対し正確に車体が反応するのは運転していて気持ちがいいものです。
もうちょっと足回りが引き締まってダイレクト感が高まればスポーツ度がより高まるんですけどね。
2.5Lハイブリッドの制御は熟成されていますが、車速が上がるとエンジンがノイジーで興醒めです。4気筒だからダメだということではありませんが、残念ながら高級感はありません。また、もう少しパワーが欲しいと感じます。
クラウンなので高級感のある内装かと思いきや、案外シンプルです。これが“スポーツ”たる所以なのでしょう。
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