クルマを運転する時、誰もが必ず握ることになるのが「ハンドル」。何気なく無意識に回している……という人も多いかもしれないこのハンドルの握り方や操作のしかたが、運転の「上手い」「下手」を大きく左右するってホント!?
文/井澤利昭、写真/写真AC
■10時10分はもう古い!? ハンドルはどこを握るのが正解?
右左折時や車線変更、駐車の際の車庫入れなど、クルマを走らせるあらゆるシーンで操作を必要とされるが「ハンドル」だ。
かつてはアナログ時計の「10時10分」と呼ばれる、円の両端からやや上の位置を握るのが正しいとされていたハンドルの握り方だが、現在では左右の両端部分を握る「9時15分」の位置が適切とされており、そう教えている自動車教習所も多いという。
その理由は、パワステがほぼ標準化された現代のクルマでは、ハンドル操作にあまり力を必要としないことや、パドルシフトなどさまざまなスイッチ類がハンドルの中央付近にあるためなど諸説あるが、腕が上がり過ぎず、自然な位置で握ることで、疲れにくく操作がしやすいという点がメリットと捉えられているからだろう。
実際、最近のクルマのハンドルの多くが、9時15分の位置で握るとしっくりくるように作られている。
ちなみに全米自動車協会では、エアバッグ動作時の衝撃による腕部や指の骨折・切断といった事故の危険があるとして、「9時15分」もしくは、さらに下の「8時20分」でハンドルを握ることを推奨しているという。
■片手での操作や内掛けハンドルは危険な握り方
運転に慣れてくるとついついやってしまいがちなのが、片手でのハンドル操作だ。
日常的にやっているドライバーからすれば、特に問題がないとも思えてしまう片手でのハンドル操作だが、脇道からの人やクルマの急な飛び出しや、路面の段差などでハンドルを取られるといったとっさの事態にうまく対応することができないため、とても危険。
タバコを吸ったり、飲食をしたりしながらの片手運転などもベテランドライバーにはありがちな行為だが、状況次第では道路交通法第70条にある「安全運転の義務」に違反したと見なされ、取り締まりの対象となる可能性もありうる。
また、片手運転同様にやっているドライバーをよく見かけるのが、ハンドルの内側を逆手に握って回す「内掛けハンドル」といわれる操作方法だ。
ハンドルを回す時に力が入れやすいこともあり、女性やパワステが普及していなかった時代からクルマに乗っている高齢者に多い握り方だが、半面、急な切り返しやとっさの際などにすばやい操作ができないというデメリットがある。
さらに先ほどの「10時10分」の握りでも指摘されていたエアバッグの動作時に腕に当たり、ケガをする危険性も高いとされている。
安全のためにも、「内掛けハンドル」がクセになっているという人は早めに直すように心がけ、ハンドルは常に外側から握るように習慣づけておきたい。
■覚えておきたい、正しいハンドルの握り方と回し方
両手を使って回すだけのハンドル操作も、運転が上手い人と下手な人とでは、動かし方に大きな差があるという。では、運転が上手い人のハンドルさばきとはどういったものなのだろうか?
まず、ハンドルを握る場所だが、冒頭でも説明したとおり、アナログ時計でいう「9時15分」あたりの箇所を、外側から両手で軽く握るようにするのが基本。
ここでの重要になるのが親指の位置で、ハンドルの内側に軽く添えるようにするのがポイントだ。
これは、親指をハンドルに巻き込むようにして強く握ってしまうと力みやすく、ハンドル操作がギクシャクしたり、とっさの時にすばやい対応や繊細な操作ができなくなってしまったりする可能性があるから。
また、ハンドルを回す時の力加減は、曲がる方向とは逆側の手で下から上に押し上げるよう意識することが肝心。
こうすることで楽にハンドルを回すことができ、その反力で体がシートに密着するため、操作中の姿勢も安定する。
もちろん、操作時の急ハンドルは御法度。曲がり始めはハンドルをジワッと回すことを意識し、クルマの動きを把握しながら舵角を調整していくようにしたい。
さらに、急なカーブを曲がる時やUターン、車庫入れなど大きくハンドルを切るシチュエーションでは、片手をいったん離し、ハンドルを送る必要が出てくるが、この時のハンドルさばきも運転が上手い人と下手な人とでは、大きく差が出るポイントだ。
コメント
コメントの使い方送りハンドルは車にも依る部分が大きくあまり推奨される操作ではない。ロック・トゥ・ロック4回転以下の車には有効だが。半回転づつの動作なので舵角が付きにくく低速であれど操作遅れに繋がる。まぁ、あらかじめ曲がる方の手を12時の位置で握る構えハンドルをやるならばかろうじてというくらい。
それでもエアバッグの作動を考慮するとクロスハンドルはどうなのか?とも思うが。