現在適切とされているのが、ハンドルの両端のあたりを握る「9時15分」の位置での握り方。腕が上がりすぎない自然な姿勢で操作ができるため疲労が少なく、ハンドルの中心部に配置されているパドルシフトやスイッチ類の操作もしやすいなど、メリットが多い
全米自動車協会ではハンドルを握る位置として「9時15分」や、さらに低い「8時20分」を推奨している。これは、衝突事故などで開いたエアバックが手や腕に当たり、骨折や切断といったケガを負う危険を避けるためだ
クルマの運転に慣れてくるとついついやってしまいがちなのが片手でのハンドル操作。とっさの事態に対応できない可能性が高いうえ、道路交通法の安全運転義務違反となる場合もありうる。取り締まりの対象となれば、違反点数2点、反則金9000円(普通自動車の場合)が科される
古くからクルマの運転をしているベテランドライバーや力が弱い女性に多いとされる「内掛けハンドル」も危険なハンドル操作のひとつ。力が入れやすい反面、急な飛び出しなどとっさの事態に対応できない点や、逆方向への素早い切り返しがワンテンポ遅れるなどデメリットが多い
内掛けハンドルやハンドルの上側を握る片手運転のもうひとつのデメリットとして知っておきたいのが、エアバック動作時に腕に当たりケガの可能性が高いという点。これらの危険なハンドルの握り方がクセになっているという人は、早めに直すようにしたい
ハンドルを持つ際は腕に少し余裕があるポジションにシートの位置を調整し、外側から軽く握るようにする。このとき、あまり力まず親指をハンドルの内側に軽く添えるようにするのがベスト。もちろん握る位置は「9時15分」が基本だ
ハンドルはあまり強く握ってしまうと、素早い対応や繊細なコントロールがしづらく、ギクシャクとした運転の原因となる。ハンドルの内側に親指を巻き込むようにしてしまうと力みやすいので、優しく握るよう心がけよう
ハンドルを回すときは、曲がる方向とは反対側の手で、下から上に押し上げるようにイメージして動かすと操作しやすい。これには、反発する力で体がシートと密着することで、安定した姿勢で運転ができるというメリットもある
ハンドルから手を離す必要がなく、ある程度スピードが出ている状態での繊細なコントロールにも適している「送りハンドル」だが、慣れないうちは案外難しいもの。周囲の安全が確保された場所での十分な練習が必要だ