こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】CX-7はクロスオーバーSUVの黎明期にマツダが作り上げたZoom-ZoomなSUV

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】CX-7はクロスオーバーSUVの黎明期にマツダが作り上げたZoom-ZoomなSUV

 これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。

 当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、現在では抜け番号となっている「7」を名前に持つSUV、CX-7を取り上げる。

文/フォッケウルフ、写真/マツダ

■SUVクラスにかつてない価値を創造

 先見の明があることにかけては、国産メーカー屈指と言えるのがマツダだ。古くは、3ローターエンジンを量産車として世界初搭載し、「史上最高のロータリー車」と称されたユーノスコスモの存在がある。

 近年では、日常の手軽なアシだった小型車を、乗り心地や静粛性などにこだわって「ワンランク上の上質」なクルマに仕立てたベリーサ。そして、「新しいカテゴリーの多目的高級サルーン」を謳い、国産Lサイズミニバンのパイオニア的存在となったMPVなど、マツダは時代を先取りした名車の数々を世に輩出してきた。

 今回クローズアップするCX-7もそのようなクルマのひとつで、「CX」のネーミングを冠した最初のマツダ車として、クロスオーバーSUVを世間に広く知らしめた存在でもある。

2006年、先行して北米市場に投入された後、日本でも発売されたCX-7。また、日本での販売を終えた後には中国市場でも販売されている
2006年、先行して北米市場に投入された後、日本でも発売されたCX-7。また、日本での販売を終えた後には中国市場でも販売されている

 SUVが市場投入された初期の頃は、オフロード走破性に優れた角張ったデザインのクルマが主流だった。しかしCX-7が発売された2000年代には、より乗用車的なスタイリッシュなデザインのクロスオーバーSUVが数多く登場し、需要はそちらへとシフトしていた。

 トヨタ ハリアーや日産ムラーノといった高級車との融合を果たしたプレミアムSUVの登場も、こうしたトレンドの現れと言えるだろう。もちろん、ユーザーがこうした新しいタイプのSUVを求めていたことがクロスオーバーSUVのさらなる活性化をもたらし、現在のような一大勢力へと成長したわけだ。

 そんなクラスの活性化に拍車をかけたのがSUVとスポーツカーのふたつの価値を併せ持つ「スポーツクロスオーバーSUV」という新しい価値を提案したCX-7だった。

次ページは : ■スポーツカーに通じる躍動的なスタイルで注目を集める

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