7月20日、全日本スーパーフォーミュラ第4戦と併催された女性だけのレースカテゴリー「KYOJO CUP」第2・3戦。そこで、2025シーズンから使用されるハイブリッドのフォーミュラマシンがお披露目された。今回は、ニューマシンの紹介とマシンチェンジの狙いを主催者である関谷正徳氏に聞いた。
文:西川昇吾/写真:西川昇吾、KYOJO CUP事務局
■これまでVITA-01を使用してきたKYOJO CUP
2017年のシリーズ発足以降、KYOJO CUPではVITA俱楽部製のVITA-01を使用してきた。このVITA-01は低コストながら本格的なレースが楽しめるとあって人気を博しており、現在では全国各地のサーキットでレースが開催されている人気のマシンだ。
そのような背景もあり、初年度は10~15名ほどであったKYOJO CUPへのエントリーも、今シーズンは年間エントリーだけでも28名にまで増えており、盛況なカテゴリーへと成長した。
そんな中での今回のマシンチェンジ。この理由を関谷氏は「女性ドライバーの更なるスキルアップに必要なツール」と語る。
■KC-MG01とは?
今回初披露となるマシンの車両名はKC-MG01。モノコックはカーボンコンポジット製でFIA規格試験済みとなっており、現代のフォーミュラマシンには必須の安全装備であるHaloも備わっている。車両重量は635kg。パワーユニットは1.4Lターボ(176bhp)とハイブリッドシステム(12kW)となっている。
なお、このマシンは全車KYOJO CUP事務局で管理・メンテナンスされ、レースウィーク時に各チームへ貸し出される。合同練習の機会が設けられる他、各チームが独自で練習走行をしたい場合は、レンタルマシンが用意される。これは徹底的にイコールコンディションをキープするためだ。
レーシングドライバーというアスリートだけの技量で勝敗を決める。その環境を限りなく理想的な状態とするためにも、事務局での管理・メンテナンスとなっているのだ。
■関谷正徳氏が語るフォーミュラマシンへのスイッチの意義
女性ドライバーの更なるスキルアップを狙った今回のマシン変更。フォーミュラマシンだからこそ得ることが出来るスキルがあるからだと関谷氏は語る。
「フォーミュラが、他のカテゴリーにチャレンジした時に役立つドライビングを最も習得しやすいです。KYOJO CUPをフォーミュラマシンで開催することが、女性ドライバーが更に活躍するために必要だと考えています。レーシングドライバーとして速いクルマに乗るには、フォーミュラマシンに乗ることが近道になるはずです。」(関谷氏)
これは、現代のレーシングドライバーがエントリーフォーミュラマシンを経験し、ハコ車でも好成績を収めていくケースが多いことを見れば分かるだろう。ハコ車に比べてフォーミュラマシンはロール量が少なく、スピンモーションが速い。
それだけに、僅かな情報から車両の状況を読み取って、より繊細な操作をすることが求められる。そんな特性を持つフォーミュラマシンで競うことが、KYOJO CUPのレベルアップ、ひいては女性ドライバーの他カテゴリーでの活躍に繋がると関谷氏は考えているのだ。
また、今までも高かった安全面に関しても、これまで以上に良くなるそうだ。
「フォーミュラマシンは軽量で強固なクルマです。軽量だからこそ、アクシデント時にドライバーに与える衝撃が少ないですし、強固なカーボンモノコックだからこそドライバーを守ってくれます。また、Haloも付いているので、これまで以上に安全性は高くなります。」(関谷氏)
来年から更に進化するKYOJO CUP。このマシンチェンジが、KYOJO CUPの更なるレベルの向上、そして将来的には日本で活躍する女性ドライバーの他カテゴリーへのチャレンジを増やすキッカケとなりそうだ。
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