今年5月に開催された「NEW環境展」に参考出品されたゴミ収集車の内部洗浄装置「シャワーホッパー」がいよいよ発売された。
洗車機で実績のあるダイフクの製品だけに、ゴミ清掃車を洗浄する作業員の負担軽減なると大いに期待されている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真・図/ダイフク
内部洗浄装置「シャワーホッパー」とは
ダイフクは、このほどゴミ収集車用の内部洗浄装置「シャワーホッパー」を日本で初めて開発。ダイフクのグループ会社で、洗車機および関連商品の販売・サービスを行なうダイフクプラスモアが8月から本格販売を開始した。
この製品は、従来は手作業で行なっていた投入口やホッパー(ゴミ収集車後部の積み込み装置)裏などの洗浄を自動化し、労力軽減や洗浄力向上、水使用量の削減などに貢献するもの。
ゴミ収集車は、使用後に通常1日1回程度、内部洗浄作業を行なうが、その作業は従来手洗いで、人手不足や働き方改革などを背景に自動化ニーズが高まっていた。また作業中にゴミや汚水が掛かるといった衛生面に加えて、安全面での課題もあった。
そこでダイフクは、これまで洗車機開発で培った洗浄技術や自動化技術を生かして本製品を開発。
「シャワーホッパー」は土間と称される車両の洗い場に設置される。ちなみに土間の洗い流しを考慮し、フレームや機器は地面と接する部分を少なくしている。
洗浄を行なうユニットは、高圧洗浄をコントロールするマルチハイプレッシャーシステム、サイドノズル、センターノズル、パッキン用ノズル、ユニット洗浄用ノズルからなり、ホッパー内部を近距離から洗うために、洗浄ユニットが前後に移動し、さらに大きく回転することでホッパーの裏もしっかり洗浄する仕組みになっている。
シャワーホッパーの洗浄の流れ
【ステップ1=投入口洗浄】
洗浄ユニットのサイドノズルが扇状の高圧水を噴射。車両に合わせて事前に動きを設定することで、最適な洗浄を実現する。また、センターノズルがストレートの高圧水を噴射することでゴミの残りやすい部分も強力に洗浄。再びサイドノズルで投入口の部分を洗い流す。
【ステップ2=ホッパー裏洗浄】
洗浄ユニットが大きく回転し、サイドノズルでホッパー裏を近距離から洗浄。手洗いでは洗うことがむずかしい部分も扇状の高圧水でしっかり洗う。
【ステップ3=ホッパ裏&荷箱洗浄】
ホッパーを全開にし、センターノズルを使ってゴミの残りやすい部分を洗浄。サイドノズルを使って、ホッパー裏全体を洗浄する。荷箱とのつなぎ目は丁寧に洗浄しながら、押出式の場合は排出板のゴミもしっかり洗い流す。また、ダンプ式の場合はセンターノズルで強力に洗浄する。最後に洗浄ユニットについたゴミもユニット洗浄用ノズルを使って洗い流す。パッキンもパッキン用ノズルでしっかり洗浄する。
【ハンドガン】
荷箱内部や汚水タンク部は、オプションのハンドガンを使って洗浄する。ハンドガンは片手で使えるよう小型化することで作業性と安全性を高めている。また、土間に残ったゴミの洗浄にも使用可能。洗いたい部分に合わせて噴射角度を調整できる。
主な仕様と製品特徴、ユーザーの声
シャワーホッパーの洗浄可能車両は、ダンプ式が2t、3t、4t。押出式が2t、3t、3.5t(高容量・低型)、4t。機械寸法は幅3620mm×奥行き4120mm×高さ2700mm。設置寸法は幅5100mm×奥行き7360mmとなっている。電源は三相AC200V 7.9kW ブレーカー容量60Aで、水タンク容量は300Lである。
シャワーホッパーの製品特徴は、
(1)労力軽減=手洗い作業を自動化。悪天候時に、より威力を発揮
(2)時間短縮=洗車時間を約30%短縮(従来比)
(3)水量削減=水使用量が約20%削減(従来比)。節水で環境に配慮
など。
最後にユーザーの声を紹介すると、
「従来の手洗いの場合、作業員が水をかぶってしまうケースがあったが、そういうことが無くなった。この洗車機を使用すれば、すぐに次の作業に移れるということも大きなメリットだと思う。また、雨や風など天候の悪い時に作業員が外で洗車する時間が短くなるのでよいと感じた」
「会社として導入するに際しては、時間短縮、ランニングコスト、労力削減の3つを数字で表すことができるので、経営者としては導入を起案しやすいと思っている。何よりもドライバーの労務管理に配慮する企業の姿勢を示すことができるので有用な製品だと思う」
とのことである。