いよいよデビューとなり、早くも年間計画台数の半数以上を受注している新型CB400スーパーフォア Eクラッチ。内容を見れば先代から引き継いだものはほとんどない。それなのにどこからどう見ても、間違いなく僕らみんなが知っているスーパーフォアの姿をしている。新世代スーパーフォアは変わらずスーパーフォアなのか、それとも中身は全く新しいものとして生まれ変わったのか??
●写真:長谷川 徹
中国の「すっごい勢い」を心から歓迎する!
1992年にデビューしてから常に400ccクラスのトップランナーでい続けたCB400スーパーフォアは、2022年にモデルライフを終えてしまった。基本設計は30年以上前であったにもかかわらず、熟成を重ねに重ねたスーパーフォアは独自の超絶バランスを獲得しており、ラストモデルまで色あせることはなかった。それだけに、1300も含めスーパーフォアブランドそのものが途絶えてしまったことを惜しむ声は多かった。
しかしその空白期間はわずか4年。僕らのスーフォア、そして過去30年にわたってホンダの大切なブランドであったスーパーフォアは帰ってきた。CB1000Fの登場で「エフ」の復活を喜んだライダーも多かったが、スーフォアの復活を喜ぶ層はさらに幅広いのではないだろうか。嬉しさと、ホンダの王道ブランドが戻ってきたことは安堵に包まれる思いだ。
その背景には中国で盛り上がりを見せているバイクシーンが大きく影響しているという。過去に従来型CB400スーパーフォアが並行輸入車として中国に入り、あちらで熱烈な支持を得ていたそう。そして今、中国メーカーも多く確立され、500㏄近辺のクラスは熱気の中心だという。
こういった「中国のすっごい勢い」(技術説明で実際に使われた言葉)により、最初は現地のフルカウル人気からCBR500R FOURが企画され、次いでCB500スーパーフォアも企画された。しかし計画が進むにつれて中国でもカウルレス車の人気が高まり、実際の販売比率はCBの方が多くなりそうだという。こうした
逆転現象が起きたのはかつて並行輸入されたスーパーフォアの存在と、現地のそれに対する憧れが強かったからだろう。
こういった中国の伸長のおかげで数が見込め、新たなチャレンジが可能となったCB/CBR(500)。そうなると400版も作りたくなるのは自然な流れだ。新たな400スーパーフォアを作るにあたり、先代をオマージュするわけではなく、日本原産のスポーツバイクというものを改めて提案しようと取り組んだ。どんなライダーでも楽しく扱いやすく、ライダーの感覚にマッチングさせた、オールシチュエーション高性能。そんなコンセプトで400版も形作られていった。
結果としてCBR500R FOURの1機種でスタートしたモデルが、CBとCBR、そしてそれぞれの500と400という、4機種まで広がりを見せた。こんな背景のおかげで、日本国内にスーパーフォアが復活できたのである。40代後半、スーフォア世代ど真ん中の筆者からすると、心から「ありがとうホンダ」「ありがとう中国のすっごい勢い」である。

中国の若いライダーは、多くがバイクをコミュニケーションツールとして捉えており、速さを求める例は多くないという。新型CB/CBRが尖った性能よりも万能性を重視したのは、そうしたユーザー層も踏まえてのこと。
全然違うのに同じ? スーパーフォアのコアとは
ネイキッドのレシピとは、ダブルクレードルフレームに2本ショック、正立フロントフォークだと思っていた。事実、
1990~2000年代のネイキッドは基本的にこれを守ってきている。ところが新型スーパーフォアは倒立フォークにエンジン吊り下げ式のダイヤモンドフレーム、リアショックだって一本とまるっきり現代の構成をしている。…それなのにルックスはどう見てもスーパーフォアなのだから不思議である。
ということは今まで「これが当たり前」「こうじゃなきゃネイキッドじゃない。スーパーフォアじゃない」と思っていた要素は思い込みでしかなかったのかもしれない。堂々としたタンク。タンデムシート部含め快適そうで低い位置にあるシート。ボリュームのあるテールカウルとツインテールランプ。丸目一灯のヘッドライトとツインホーン、これにホンダのバッヂが付けばもうそれはスーパーフォアなのかもしれない。
エンジンに至ってはダウンドラフト吸気のサイドカムチェーンと完全に今のものであって、かつてのスーパーフォアの面影はボア×ストローク値(55mm×42mmで従来型と全く同じ)ぐらいにしか残っていない。でも、これは確かにスーパーフォアである。
筆者より若手のスーパーフォア世代はこういったウルサイこだわりは持っていないかもしれないが、若干マニア気質の立場からすると、無意識的に抱いてしまっていた「ネイキッド像」「スーパーフォア像」のようなものは無意味だったと知らされた思いであり、反省しきりだ。
〈試乗〉確かなる“スーパーフォア”
語りたいことはまだまだ多いが、まずは乗ってみよう。またがるとシートの低さ、足着きの良さ、ハンドルポジションの自然さ、目に入るタンクのトップビューなど、完全にスーパーフォアであり違和感はなかった。最近のスポーツバイクのトレンドはファイター系であり、腰高な乗車姿勢や開き気味のハンドル、獰猛な見た目が特徴ともいえるが、CB400スーパーフォアにそんな要素はない。テールセクションも低いため足を振り上げて跨ぐのも苦ではないし、腰を下ろした時にスッと初期沈みするサスペンションは安心感を与えてくれる。

またがりライダーは編集部の松田(身長170cm・体重70kg)。ごくわずかに上体が前傾する位置にあるハンドル、膝の曲がりがほぼ90度となるステップなど、ライポジは至って自然で安心感のあるもの。NC42ほどのコンパクトさはないものの、誰もが馴染みやすいポジションだろう。

おなじく編集部・あん。両足を着いた場合でも、車体が軽いためつま先でチョンチョンしながら支える事が可能。「身長153cmでも全然いけます!」という、あんの足着きショート動画はこちらから。
スポーツだけにフォーカスしたものではなく、万人向けであって汎用性も確保するというその姿勢を引き継いだのも素晴らしい。それはルックスにも表れており、奇をてらう突飛さや、何かを威圧する要素は微塵もなく、最新モデルであるのに誰もが「ステキなオートバイですね」と言いそうな普遍的かつモダンな姿をしている。まさにスーパーフォアで育った筆者(96年型バージョンSに長く乗っていた)は「そうそう、ホンダにはこうあってほしい」と嬉しくなってしまった。
エンジンをかけると、緻密なメカニカル音と良く消音された排気音がまた優等生的。味わいや個性も大切な部分ではあるだろうが、スーパーフォアにギミックは不要。どこまでも優等生でいいのだ。優等生であることに、クリーンな魅力がある。
「あぁ、この感じ」。冒頭にも書いたが、安心感に包まれる。スーパーフォアが変わらず優等生なのが嬉しい。自分の中でのスーパーフォアのイメージが、そのままホンダのイメージだったことに気づいて走り出した。
電スロも採用。400㏄直4ならではのスポーティさ
ギアに入れる、クラッチを繋ぐ、スロットルを合わせるという当たり前の行為が、とてもホンダらしく行える。すべてが軽くスムーズ、そして思いのままだ。そして走り出して1kmもいかないうちに「あぁコレコレ!」と嬉しくなった。というのも、本当にすぐに6速までシフトアップできてしまったのである。
以前のスーパーフォアもそうだった。1気筒が100㏄しかないとは思えないほどの粘りがあり、街中を走っていたとしてもすぐにトップギアに入れることができてしまう。新型も、気づくと2000~3000rpmぐらいしか使っておらず、もっと排気量が大きなバイクに乗っているかのよう。
トップギア6速のまま2000rpmまで回転数が落ちても、わずか30㎞/hになっているその速度からシフトダウンせずに開けていけてしまうのだ。何と頼もしいことか! あまりの余裕トルクで、前の車について走っているような場面では、ついつい幻の7速に入れようとしてしまうほどだ。
一方で4000rpmから先は良い意味でフラットな領域。スポーツバイクというだけでなく、スーパーフォアは多用途に作られているため、このような味付けとしたのだろう。アクセルの開閉や路面の凸凹に過剰に影響されない回転域とでも言おうか、まるでファイナルがロングになったような落ち着きがあって、淡々と走り続けるような使用状況が想像される。「タンデムやキャンプツーリングなども幅広く使ってもらえるバイク」と説明されたことを思い出した。
直4らしい伸びやかさが感じられるのは8000rpmから先だ。ここから12000rpmにかけては、大排気量4気筒では味わえないような、400㏄だから得られる軽やかなフケ上がりと右肩上がりのパワー感を楽しめるため、実用性や多用途性の中でも、よりスポーティマインドのユーザーがニンマリできる領域が確かにある。パワーそのものは58psと、先代NC42の56psから大きく向上しているわけではないが、車体全体で14㎏もの軽量化を果たしていることや全体的なフリクション感の少なさのおかげだろう、なかなかキビキビしている。
電子制御スロットルを搭載したのもトピックで、ライディングモードも設定された。トルクコントロール(トラコン)、エンジンブレーキレベルと連動して特性が変化する3モードがプリセットされ、さらにユーザーの好みで2モード、合計5モードから選ぶことが可能となった。
スタンダードモードはその名の通りスタンダード、スポーツモードは右手の開度に対してよりダイレクトにスロットルバルブが開く設定でトラコンとエンブレは少なめに、そしてアーバンは逆に右手の開度に対してスロットルバルブは穏やかに開いて、トラコンとエンジンブレーキは多めという設定だ。普段はスタンダード、ワインディングではスポーツ、そして雨天や疲労が見えてきた帰路などではアーバンを、という使い方が想定される。
ただパワーについては、出力値自体は各モードとも同じであくまでアクセル開度の制御によって味付けが変わっているというものである。
今回は限られた時間の中でスタンダードとスポーツしか試すことができなかったが、スポーツモードのまま街中を走っても違和感はなかったし、スタンダードモードのままワインディングを走っても十分に楽しかった。
そう考えると各モードの差異はそこまで大きくはないように思える。さらには、ワインディングでヘアピンなどのような低速コーナーで、車体が寝ている状態でアクセル全閉からジワッと開けるような場面ではスポーツよりもスタンダードの方がスムーズに感じることもあり、各モードはライダーの好みで使ってヨシなものであって速さとは直結しないような印象となった。

ライディングモードはプリセット3+2ユーザーモードの設定。エンジン出力レベルに1〜3の設定があるが、アクセル全開で最高出力発生回転数に達した時の出力はどのモードも同じ。そこまでの過程が異なる味付けだ。
もう一つ、先代と共通するスーパーフォアらしさを感じられたのは追い越し加速時だった。先述したように3000rpm付近に使いやすいトルクがありすぐにトップギアに入れてしまうため、そこからアクセルを開けただけでは元気な加速はできない。当然、シフトダウンするわけだが、元気に加速できる8000rpm以上にタコメーターを届かせるには2段、あるいは3段もシフトダウンする必要がある。
スーパーフォアのレッドゾーンは12500rpmと、同じ400cc4気筒車であるカワサキ・ニンジャZX-4Rの16000rpmと比べれば低めではあるものの、やはりシフトダウンしてアクセル全開としたときの回し切っていく感覚はミドル直4ならではの快感。2回、3回とシフトペダルを踏みこみ、言葉は悪いが「高回転域にブチ込む!」。パワーバンドを満喫する走りは3000rpm付近の優しさや頼もしさとは対照的なアクティブさがあり、まさに多用途なスーパーフォアの姿を見せてくれる。

常用域からそのままアクセルを開けても鋭い加速は得られないが、2段、あるいは3段シフトダウンしワイドオープン! 8000rpmあたりから400㏄4気筒らしい軽やかで気持ちの良い回転上昇と加速感が得られる。400㏄4気筒ならではの醍醐味だろう。

完全新設計のエンジンはダウンドラフト吸気やコンパクトなシリンダーヘッド、主要3軸の三角形配置など、現在の技術を投入。500をベースに400に最適なボア✕ストロークを追求した結果、従来型と同値に落ちついたというのが興味深い。

ちなみにハイパーVTECの廃止も「最新の技術で400cc4気筒を作り直す」というコンセプトに基づくもの。VTECはヘッド回りに多くの部品が必要で、そのぶんフリクションロスも増えてしまうという。ただし開発陣はエアボックスのダクトを左右不等長にするなど、スロットル操作で変化する音の作り込みに注力し「可変する楽しさ」を作り込んでいる。
新たな価値、Eクラッチを採用
構成要素は刷新されているにもかかわらず、味付けは変わらずスーパーフォアだった新型エンジン。しかしそこに全く新しい要素として加わったのがEクラッチである。すでに多くの搭載車両が出回っているが、スーパーフォアに搭載されたのは電子制御スロットルと協働する最新型。これによってシフトダウン時にはブリッピングが自動で入り、よりダイレクトに4気筒らしい気持ち良さを楽しめる。
Eクラッチシステムそのものの使い方はこれまでのものと同様だ。システム作動中はニュートラルからクラッチレバーを握らずに1速に入れられ、その後もクラッチレバーの操作は必要なく発進でき、シフトチェンジしていける。クラッチレバーは使わずにシフトチェンジのみをライダーが担当する様はスーパーカブ同様の操作であり、そう考えると分かりやすいと思う。
一方でクラッチレバーを手で操作したい人はその操作も選べるのがEクラッチの特徴。Eクラッチ作動中でもクラッチレバーを握れば即座にマニュアルクラッチに切り替わり、一定時間レバーに触らなければ再びEクラッチシステムが復帰するという仕組みだ。熟練ライダーならばUターンや極低速走行などではやはり自分の手で操作したいと思うこともあるだろう。そんな気持ちにも応えるEクラッチである。
また、そういったファジーなON/OFFの行き来ではなく、より明確に常にマニュアルクラッチ操作をしたいという人は、Eクラッチシステムそのものをオフにすることもできる。ただEクラッチシステムをオフに設定すると、クイックシフターも同時にオフになることは覚えておきたい。これはEクラッチ車に装備されているクイックシフターがクラッチの制御と連動しているためだ。
最新の電子制御スロットル協働Eクラッチシステムにより、特にシフトダウンはかなり進化したという。バンクしながらシフトダウンするような場面でもブリッピング含めた制御がしっかりと入り、エンブレによる挙動の乱れがかなり抑えられているそうだ。
ただ今回の限られた試乗時間においてはそういった場面はあまりなく、最新Eクラッチシステムのスポーツライディングにおける優秀さを実感するのはもっと突っ込んだ乗り方をするチャンスまでオアズケとなった。
他社含めて多くのクラッチレスシステムが登場する中で、ホンダはDCTに続く提案としてEクラッチを急速に進化させている。特にこのエンジンはEクラッチありきで設計していることもあり、おおよそ3㎏増となるEクラッチユニットをセルスターターの後ろ側(クランクケース上)に潜り込ませてマスの集中化を追求。開発者によると「とにかく自然に装着したかった。ついているかどうかわからないぐらいが理想で、できることならEクラッチのエンブレムすらつけたくなかったんですけどね」とのこと。
なるほどこれまでのEクラッチは車体右側にあって「後付け感」があったのに対し、新型スーパーフォアに搭載されたこの最新型は見事にエンジン、車体と一体化している。
クラッチレスシステムの機能的進化はもちろん、このようなナチュラルな装着感含めて、ホンダは一歩先を行っていると感じさせる。
最も興味深い車体の進化
エンジンは最新となったにもかかわらず、確かなスーパーフォアらしさを持っていた。それと同様に、車体も親しみやすさや懐の深さはスーパーフォアである。ただ色々なところが先代と違いすぎて興味が尽きない。
最もアピールしておきたいのは徹底した軽量化である。おおよそ3㎏増となるEクラッチシステムを搭載しつつも、車体全体では先代比で14㎏ものマイナスを達成。なんとエンジン単体重量は4気筒にもかかわらず、2気筒のCBR400Rと同じ52㎏に抑えているという。そんな馬鹿なと思っていたら、フレームに至ってはCBR400Rよりも7㎏も軽いというではないか。
根本的な設計の段階で、メッキシリンダーを採用したり、リアをモノショック化したり、あるいはエンジンもフレームも完全新設計ゆえに、スタート時から徹底した軽量設計ができたということもあるが、それとは別に開発の各部署の間で「そっちは何グラム削った?」「こっちはさらに何グラム削ったぜ!」と軽量化合戦が繰り広げられ、軽量化への意識はさらに高まっていったそう。そういった細部への徹底した取り組みの結果が、マイナス14㎏なのだ。
その一例として現場で左ステップを外して持たせてくれたが、確かに軽量に感じられた。その重量345g、筆者としては他機種に対してどのぐらい軽いのかという尺度を持ち合わせていなかったが、開発の方々は次々にステップを手に取り「やっぱり軽い!」「これは相当ですよ!」「頑張ったなぁ!」と盛り上がっていたのだから、やはり軽いのだろう。

徹底した軽量化の実例として示されたのが写真の2点。ダイキャスト製のステッププレート(左)は徹底した肉抜きと厚さ2mmの薄肉設計で、ステップバーや先端のバンクセンサーを含めても345g(実測)という軽量設計。また、リヤサスリンクの三角プレートは、ホンダ車で初となる穴開き設計だ(右)。

CBR400Rは今年モデルからEクラッチが標準になり、車重はCB400SFより8kg重い195kg。フルカウルであること、基本設計が2013年まで遡るモデルであることを考慮してもCB400SFの軽量設計が光る。
倒立フォークやモノショックといった先代とは違った足まわりの各コンポーネントながら、ハンドリングは軽快さと安定感を上手に両立したスーパーフォアらしい汎用性のあるものだと感じる。先代は低重心で、リアには5インチ幅リムに160幅タイヤを履かせることで穏やかなラウンド形状で安定感も獲得。それでいてスポーティにも走れたのはフロントに60扁平という、外径で言えば16インチホイールレベルの小径タイヤを履いていたという絶妙かつ独自のバランス感覚があったからだろう。
対する新型はフロントには一般的な70扁平タイヤ、リアは同じ160幅タイヤながらリム幅を4.5インチにナロー化。前後ホイールはツインのCBR400Rと同じという、現代的な設定としている。これによりフロントのタイヤ選択肢は広がり、またリアにおいては軽量化を達成。そしてリアタイヤは先代よりも尖ったラウンド形状となるため、ヒラリ感が増している。
こういった現代的な足まわりながら、かつての60扁平タイヤのようなクリクリと曲がれるハンドリングを実現しているのは、CBR400Rよりもスポーティ方向のキャスター角25°/トレール量98.4mmという数値だろう(CBR400Rは同25°30′/102mm)。
シート高および重心が低く、結果ライダーの重心も低く安定感が高いバイクでありながら、スポーツ性はしっかりと確保する。そのアプローチは先代の「絶妙かつ独自のバランス感覚」とは違った現代的かつ理詰めなものではあるが、結果は同じところに着地していると感じた。
なお、こういった自在なハンドリングを生み出すのは軽量化はもちろん、マスの集中が大きく貢献しているそう。Eクラッチシステムをクランクケースに近づけたことや、モノショック化したことなども効いているという。

そのフロントブレーキはラジアルマウントのニッシン製4ピストン。組み合わされるフォークは同じアステモグループのショーワ製ではなくKYB製。タイヤは専用チューンが施されたピレリのディアブロ・ロッソⅣ(クワトロ)で、OEMタイヤはこの1種のみ。
低速でも安定していて、Uターンも楽々できて、街中では何の気兼ねもなく走れて、ワインディングでは意のままに操れる。スーパーフォアは新型になってもそういった総合力はとても高かった。ただその中で敢えて性格を表すとするならば、ラジアルタイヤを装着したNC39型以降のスーパーフォアではなく、それ以前のNC31型スーパーフォア的な軽快さが印象に残った。
NC31型スーパーフォアは前後細身のバイアスタイヤで、安定志向のNC39に比べると重心が高くヒラヒラした印象の乗り物。新型スーパーフォアもまた、ピレリのディアブロ・ロッソⅣというそもそもスポーティな銘柄のタイヤを、リアでは敢えて細めのリムに装着し、こういったヒラヒラした印象を後押ししている。
車体の軽量化と合わせて、この軽快感は先代(NC39〜NC42)に対して変わったと実感した部分であり、上手にモダナイズしたと感じた部分。加えて歴代スーフォアマニアとしてはNC31を連想させてくれたのが歴史へのリスペクトにも思えて嬉しくもなった。もっともこの感想から「NC31のハンドリングを意識したんですか⁇」 と前のめりになりながら開発陣に伺ったら、「いや、NC31とは比較してないですね…」と言われてしまったが(笑)。
この先10年、20年のモデルライフを目指す
復活したスーパーフォアは、ここまでの30年の歴史を引き継いで、「この先10年はもちろん、20年を目指していきたいですね」との強い想いが聞けた。それが実現すればトータルのモデルライフは50年以上になるということだ。
せっかく全くの新規で作られたエンジンと車体、「スーパーフォアだけってことは…??」と開発陣に水を向けると「今の世の中で、単一機種だけのために全く新規のエンジンを作って良いとは…ならないですよね(笑)」と含みを持たせた答えが聞けた。この新規エンジンは今でこそスーパーフォアに合わせ込んだ性能でリリースしたが、今後いくらでも発展のしようがあるようにかなり余裕をもって作っているという。
「スーパーフォアの性格に合わせて現在は58psに設定していますが、エンジン本体には大きな手を加えることなく、さらに高回転高出力仕様にすることもできますし、逆に低回転トルクを太らせた仕様を作ることも十分可能です」とのこと。

そのひとつがフレームのステーとエンジンの間に噛まされる長めのスペーサー。これはハンドリングだけでなく、ライダーに伝わる振動の軽減などを検討した結果たどり着いた形状だとか。「無骨なのでアルミ製のカスタムパーツとか出そう」と自嘲気味だったが、その裏には「これがベスト!」という自信も見えた。

もうひとつ。フレームのネック周辺やエンジンハンガーパイプ(上の写真参照)はそこかしこに穴が。 この位置や径でハンドリングをチューニングしているそうで、開発時は様々な場所に様々な径の穴を開けたり、埋めたりを繰り返したという。フレームに穴を開けられる場所なんてそれこそ無限。そんな中から最終的に「この場所に、この径で、この数を」と決断したテストライダーの感性たるや!
この先は妄想でしかないが、ということは吸排気やカムといった比較的簡単に変更できる部分だけで、よりスポーティなホットバージョン(バージョンRやバージョンS?)、あるいはかつての和製クルーザーのような「カスタム」「カスタムエクスクルーシブ」という可能性だってなくはない。
さらに言えば1997年に登場したCB400FOURのようなクラシカルバージョンも不可能ではないはず。気が早いかもしれないが、せっかくの新規パッケージなのだから発展版、バリエーション展開にも期待してしまう。
会場に展示された「鉄馬」レーサーが意味深?!

試乗会場には九州のアマチュアレース「鉄馬」に出場予定のレーサーも展示。これが「今後のバリエーション展開」を示唆している?

ちなみにエンジン内はノーマルながら、吸気系に500の純正パーツを流用している模様。「純正部品の組み合わせでかなり性能は上げられますので、一般の方も楽しみやすいと思います」とのこと。純正流用チューンが盛んだった1990年代のカスタムシーンを思い出し、胸が熱くなった!
素晴らしき100万円切り
冒頭に書いた通り、CB400スーパーフォアが復活したのは中国の「すっごい勢い」のおかげが大きい。そのうえで400㏄版もラインナップしてくれ、さらにそれが税込み99万8800円というのが本当に素晴らしい。
いかに良いバイクでも、あまりに高価ではなかなか手が出ないし、特に若いライダーにとって100万円を切ってきたというのは大きいように思う。しかしまっさら新設計の4気筒がこの価格というのはなかなか難しかったのではないだろうか。
そのカラクリを伺うと、全体的なリソースの見直しというアプローチがあったという。車体を見るだけでも、例えばフロントフォークはCBR400R(2気筒)のショーワからKYBへと変更、リアサスは中国メーカーのもの、チェーンもCHOHOとやはり中国メーカーである。

チェーン&スプロケットに採用されたCHOHO(チョーホー)は、中国で8割のシェアを持つ巨大メーカー。ホンダとは共同開発やMXGPのスポンサードなど縁が深い。ちなみに標準タイヤがピレリなのも、性能はもちろん、調達のしやすさ(ピレリも中国製)も一因なのだという。
こういった中国製サプライヤーも近年は非常に高品質となっているため、色眼鏡を外して様々なサプライヤーにアプローチし、検査方法だけでなくその検査を行っている検査器具まで徹底的に調査&追求した結果、「様々なサプライヤーの様々な部品を徹底的にテストしてみたら、全然いいじゃん!というものに多く出会えました」とのことで、ホンダのグローバル基準に合致するものを積極的に取り入れることができたという。
もちろん、全世界では4シリーズ合計で年間2万~2万5000台の販売が見込めるというパイの大きさもあるのだが、それ以前に競争力を持たせた価格設定にはかなり力を入れて開発した背景が伺えた。事実、このクオリティでこの価格ならば破格と言えるだろう。すでに庶民のオールラウンドスポーツバイクとして30年の歴史あるスーパーフォアが、新世代になっても庶民に手が届く存在であり続けるのは素直にありがたい話ではないか。

ちなみに従来型CB400SF(NC42)の最終価格は、ブラックのソリッドカラーが88万4400円で、白✕赤や写真の白✕青カラーが92万8400円。完全新設計&Eクラッチ付きで99万8800円という、新型の価格は非常に戦略的だ(ただし従来型はETCが標準装備)。
「質の良い白米」スーパーフォア・シーズン2
スーパーフォアは良きスタンダードだったからこそ、ここまで30年も愛され続けた。そして新型もまた数々の最新技術が投入され、その中身は大きく変わっているのに「良きスタンダード」であることに変わりはない。開発陣からは「白米のようなバイクですよね。でも質の良い白米です」と聞けた。その通りだと思う。
あまりの付き合いやすさや乗りやすさゆえに、スーパーフォアに対して過去に一部からは「乗りやすすぎて面白みに欠ける」だとか「優等生過ぎて誰でも速く走れてしまう」といった、逆説的なコメントが聞かれることもあった。しかし乗りやすいこと、付き合いやすいことは圧倒的に「是」なのである。そのうえでそれをどのように使うか、どのように走らせるかでライダー主導の個性が発揮できるのである。
そういう意味でも新型のスーパーフォアは、やはり確かにスーパーフォアだった。炊き込みご飯やチャーハンのような濃い味やパンチはないかもしれない。だけど「質の良い白米」を作るのは、炊き込みご飯やチャーハンを作るよりも難しいのではないだろうか。シーズン2へと突入したスーパーフォアブランド、スタートラインに立った2026年型CB400スーパーフォア Eクラッチは、ルックスだけでなく背負っているモノも含めて、とても堂々として見えた。
ホンダCB400スーパーフォア Eクラッチ・主要諸元
- 全長×全幅×全高:2,110 x 770 x 1,085 mm
- 軸間距離:1,405 mm
- 最低地上高:135 mm
- シート高:780 mm
- 装備重量:187kg
- エンジン:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 399cc
- 最高出力:43kW(58PS)/ 11,500rpm
- 最大トルク:38N・m(3.9kgf・m) / 9,750 rpm
- 燃料タンク容量:15L
- 変速機形式:6段リターン(Eクラッチ)
- ブレーキ形式(F/R):ダブルディスク/ディスク
- タイヤサイズ(F/R):120/70ZR17/ 160/60ZR17
- 価格:99万8800円
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/588118/
【新車インプレッション】コイツは素晴らしく旨い、極上の白メシだ! ホンダ新型CB400スーパーフォア・試乗レポート【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/588118/589027/




































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